宇宙

2023.09.07

マスク、4月に失敗した超大型ロケット「スターシップ」の再打ち上げ準備完了

スペースXのスーパーヘビーとスターシップは2023年4月17日にテキサス州のスターベースから打ち上げられた(Getty Images)

スペースXの創業者兼チーフエンジニアで世界一の大富豪、イーロン・マスクは、自身の最高傑作ロケットを飛ばす2度目の挑戦の準備が完了したと語っている。

「スターシップは打ち上げ準備を完了し、FAA(米連邦航空局)の承認を待っているところです」と、マスクはX(旧ツイッター)に投稿し、テキサス州南部のスペースXの私設射場であるスターベースで、準備中のスターシップとブースターであるスーパーヘビーの様子を収めた動画をシェアした。
Ship 25と名づけられた最新のプロトタイプは、マスクがブロードバンド衛星、スターリンクを追加配置し、NASAの宇宙飛行士を月へ運び、最終的には人類を火星に送り込むことを目的としたものだ。現在、初めての無人宇宙飛行を行うために、当局の認可を待っている。

過去数年間、スターシップの初期プロトタイプの多くが、スーパーヘビーの力を借りずに、大気圏の高高度へのテスト打ち上げを行ってきた。今年4月には、スターシップとスーパーヘビーが完全に組み立てられた「フルスタック」状態での打ち上げが初めて行われた。軌道に立ち寄り、宇宙へ行けることを証明した後、スターシップを地球に帰還させ太平洋のハワイ沖に着水させるという計画だった。

しかし、スターシップは現地時間4月20日の打ち上げ後、スーパーヘビーからの切り離しに失敗し、意図的に破壊された。これはプログラムの開発状況を踏まえ、マスクが以前から警告していた結果だった。

そして今、打ち上げ施設および世界最大級プロトタイプロケットの数カ月におよぶ修理と改良を終え、スペースXは再びこのミッションに挑戦する準備ができたとマスクは述べている。

一方、FAAは多くを語っていない。FAAは、4月20日の事故に関する公式調査と報告を終えてから、再度の打ち上げを承認するかどうかを決定する必要がある。

公正を期すために言っておくと、スペースXが事故に関する詳細報告をFAAに提出してから、3週間しか経過していない。

報道によると、スペースXは早ければ今週中には打ち上げたいようだが、ここ数年、FAAがマスクのために処理を早めるそぶりを見せたことはない。
スターシップの開発は、スペースXが2020年12月に、FAAのライセンスに違反してプロトタイプであるSN8を打ち上げたことで進捗が遅れた。同社は世間の目に隠れてこの件について政府と話をつけたが、その後、次のライセンス発行手続きは一時停止され、4月20日のスーパーヘビーによるフルスタックのデビュー前には、長期にわたる公開レビューが実施された。

そういうわけで、今私たちは馴染のある光景を目にしている。マスクとスペースXは打ち上げ準備を完了しているが、FAAはまだゴーサインを出す準備ができていない。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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