CESに集まる来場者は大半が商談、または視察を目的とする業界関係者であるため、どちらかと言えばトレードショーとしての色が濃い。かたやIFAにはプレスデーを合わせて7日間という長めの開催期間に、ベルリン市民や欧州各国から一般の来場者も数多く訪れる。出展する企業にとっては商談だけでなく、自社の新しい製品やサービスに対するコンシューマーの反応に直接触れられるメリットがある。
IFAも新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが世界に広がる間は、ベルリンでのリアル開催を中止したり、またはオンラインと併催した。2023年は全面的なリアル開催に形態を戻して、出展社と来場者の数をほぼコロナ前の規模にまで盛り返した。出展企業の数は大小合わせて2059社に上る。イベント後の統計はまだ出ていないが、開催前の主催社発表では18万人を超える来場者を見込んだ。
サステナブルな技術や製品にさらに注目が集まる理由
欧州でも世界のエレクトロニクス市場と同じく「AI」とそれを取り巻くスマートテクノロジーに脚光が当たっているだろうと予想して、筆者は4年ぶりにIFAを現地で取材した。ところがフタを開けてみると、欧州で今年最も注目されていたメイントピックは「サステナビリティ(持続可能性)」だった。欧州のブランドであるシーメンスにボッシュ、ミーレのほか、海外ブランドとして高い人気を獲得してきた韓国のサムスンにLGエレクトロニクス、欧州で勢いに乗るハイアールにハイセンスなど中国勢のブランドは、一斉にそれぞれのブースで「サステナビリティ」に関連する企業の取り組みや、新製品の機能にスポットを当てて紹介した。
大小さまざまな企業が最先端のサステナブルな技術と、搭載する新製品にスポットを当てて展示