「生活家電の買い換えサイクルはITガジェットに比べれば周期が長いものの、どの家庭にも必ずやって来ます。現在は品定めに時間をかけていたり、なんらかの理由で買い控えているコンシューマーが、次に新しく製品を買う時にはサステナビリティを重視するでしょう。IFAでサステナビリティのビジョンと関連する製品を強くアピールして種を蒔いた企業には、近い将来に豊かな収穫期が訪れるはずです」
世界のエレクトロニクスショーで気を吐くスタートアップ
今年IFAには世界の各地域から400を超えるスタートアップが集まった。ソニーやパナソニックなど、IFAで人気の高い日本のブランドが一般来場者も入場できるブースを設けなかったことで、開催前にはイベントの盛り上がりを心配する声もあった。ところが、スタートアップが多く集まる特別展示エリアのIFA NEXTが「眠るメジャーブランドの不在」を埋め合わせた。今年のIFA NEXTには、フランス経済の国際化を目的に起ち上がった政府機関のビジネスフランスが音頭を取り、全21社のスタートアップがブースを出した。ビジネスフランスはIFAやCESのようなグローバルイベントにフランスの企業を紹介したり、海外からのフランス企業への投資案件の支援などを行っている。
フランスからIFAに21社のスタートアップを引き連れて参加したビジネスフランスのロメイン・ガイヤック氏
ビジネスフランスはこれまで7年間にわたって、150以上のスタートアップをIFAに送り出してきた。中にはいま従業員の数が1000人を超える規模にまで成長した企業もあるという。
「フランスにもパンデミックが拡大した後から、ヘルスケアやウェルビーイングに関連するビジネスを起ち上げたスタートアップが多くいます。ビジネスフランスが2023年のCESの出展をサポートした企業は約150社でしたが、そのうちの大半がヘルスケアやウェルビーイングを取り扱うスタートアップでした」と、IoT/ハードウェアプロジェクトの部門長であるビジネスフランスのロメイン・ガイヤック氏が振り返った。