出演作について熱っぽく語るいっぽうで、SDGsについては冒頭のコメントにもあるとおり、「当たり前のこと」と言わんばかりの取り組みを、私生活のなかで実践している。その一例が「大好き」と話す古着。
「初めて古着を買ったのは、上京してきてすぐのことでした。3万5千円ぐらいしたスラックス。まだお金に余裕もなかったので、もう、震える思いで買いました(笑)。それはいまもまだ持っていて。ポケットや裾に穴が空いちゃったり、お尻のところも座りすぎて薄くなっちゃったりしていますが、穴が空くたびに自分で繕って、ずっと使っていました」
誰もが働きがいある仕事を得られるというのも、SDGsが掲げるゴールの一つだ。この点について話題作への出演が続く俳優は、「撮影現場では常に必死」と笑う。
「自分の役割、役目ってことを考えるのに必死なんです。映画が出来上がって、初号試写を見る瞬間、一番ドキドキするんですけど。見終わったあとに、いろんな方の顔や反応を見て、『やって良かったな~』って思う。その瞬間かもしれませんね、やりがいや働きがいを感じるのは」
そのうえで同世代に向けて、こんなメッセージを送った。
「やりがいや働きがいを見つけられない人もいると思います。そういう人たちに伝えたいのは、自分が好きなことをやってる瞬間、周囲のことなど気にならなくなるぐらい、集中できることが一つでもあるなら、そういうことを仕事にできるように、考えていってもいいんじゃないかなってこと。周りの意見はいろいろあると思います。でも、最終的に『自分はこれだ!』って思えたなら、それを突き詰めていってもいいんじゃないでしょうか。『躊躇せず突っ込め』ですね」
彼自身、この先も迷うことなく突き進んでいくはずだ。
坂東龍汰◎1997年5月24日生まれ、北海道出身。17年俳優デビュー。22年『フタリノセカイ』(飯塚花笑監督)で映画初主演を務め、第32回日本映画批評家大賞の新人男優賞(南俊子賞)を受賞。ドラマ『リバーサルオーケストラ』(NTV)『王様に捧ぐ薬指』(TBS)などに出演。映画『春に散る』『バカ塗りの娘』が公開中。待機作には、主演舞台『う蝕』(2024年2月〜3月公演)、初単独主演映画『君の忘れ方』(2025年公開)がある。