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2023.09.14 18:00

俳優・坂東龍汰 役づくりの苦労を経て伝えたいこと

「本当に、これまでの日本映画にはないような、ボクシングシーンになっていると思います。キャスト、スタッフ一同が本当に一つになって、リアルを突き詰めた作品になっている。物語自体も、本当にこう『胸熱』というか……僕自身、試写のときに思わず手をギュッと握り締めながら観てしまいました」

出演作について熱っぽく語るいっぽうで、SDGsについては冒頭のコメントにもあるとおり、「当たり前のこと」と言わんばかりの取り組みを、私生活のなかで実践している。その一例が「大好き」と話す古着。

「初めて古着を買ったのは、上京してきてすぐのことでした。3万5千円ぐらいしたスラックス。まだお金に余裕もなかったので、もう、震える思いで買いました(笑)。それはいまもまだ持っていて。ポケットや裾に穴が空いちゃったり、お尻のところも座りすぎて薄くなっちゃったりしていますが、穴が空くたびに自分で繕って、ずっと使っていました」

誰もが働きがいある仕事を得られるというのも、SDGsが掲げるゴールの一つだ。この点について話題作への出演が続く俳優は、「撮影現場では常に必死」と笑う。

「自分の役割、役目ってことを考えるのに必死なんです。映画が出来上がって、初号試写を見る瞬間、一番ドキドキするんですけど。見終わったあとに、いろんな方の顔や反応を見て、『やって良かったな~』って思う。その瞬間かもしれませんね、やりがいや働きがいを感じるのは」

そのうえで同世代に向けて、こんなメッセージを送った。

「やりがいや働きがいを見つけられない人もいると思います。そういう人たちに伝えたいのは、自分が好きなことをやってる瞬間、周囲のことなど気にならなくなるぐらい、集中できることが一つでもあるなら、そういうことを仕事にできるように、考えていってもいいんじゃないかなってこと。周りの意見はいろいろあると思います。でも、最終的に『自分はこれだ!』って思えたなら、それを突き詰めていってもいいんじゃないでしょうか。『躊躇せず突っ込め』ですね」

彼自身、この先も迷うことなく突き進んでいくはずだ。


坂東龍汰◎1997年5月24日生まれ、北海道出身。17年俳優デビュー。22年『フタリノセカイ』(飯塚花笑監督)で映画初主演を務め、第32回日本映画批評家大賞の新人男優賞(南俊子賞)を受賞。ドラマ『リバーサルオーケストラ』(NTV)『王様に捧ぐ薬指』(TBS)などに出演。映画『春に散る』『バカ塗りの娘』が公開中。待機作には、主演舞台『う蝕』(2024年2月〜3月公演)、初単独主演映画『君の忘れ方』(2025年公開)がある。

文=仲本剛 写真=秋倉康介 撮影場所=ITOCHU SDGs STUDIO

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