北米

2023.09.06

米ワーナー、ストによる損失は「最大5億ドル」と発表

Photo by Jessica Rinaldi/The Boston Globe via Getty Images

ハリウッドの俳優と脚本家によるストライキが続く中、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは9月5日、撮影の遅延やキャンセル等の影響が今年の末まで続き、最大5億ドル(約738億円)の損失を被る可能性があるとの見通しを示した。

同社は、2023年12月期の調整後EBITDA(利払い・税・償却前利益)が105億ドルから110億ドルになるとの見通しを示し、このストが3億ドルから5億ドルの減益要因になると見込んでいる。ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、この減益が主にストの影響によるものであり「最終的にいつ終了するかは予測できない」としている。

トゥルーイスト・ファイナンシャルのマシュー・ソーントンはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、俳優や脚本家との交渉が難航していることから、通期ガイダンスの引き下げは予想されていたことだと語った。

ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの株価は、5日午後12時30分現在で2.5%高となった。

ニューヨークを拠点とするシンクタンク、ミルケン研究所のストラテジストのケビン・クロウデンがヤフーに語ったところによると、脚本家のストライキが米国経済に与える損失は50億ドル程度という。カリフォルニア州立大学ノースリッジ校のトッド・ホームズ教授は、両ストライキがカリフォルニア州経済に及ぼす損失を、8月9日時点で推定30億ドルと見積もっていた。

進歩的世論調査会社データ・フォー・プログレスが実施した世論調査によれば、このストを支持する米国人は67%と推定され、反対派は18%という。この世論調査は、8月3日から5日にかけてオンラインで実施され、1124人が回答したものだ。脚本家や俳優の要求を拒否したハリウッドの大手スタジオに対して好意的でない見方をする米国人の割合は、59%に達したと推定されている。

全米脚本家組合(WGA)とハリウッド俳優組合(SAG-AFTRA)は、報酬の増額や手当の改善、人工知能(AI)が仕事に及ぼす影響からの保護などを要求してきた。WGAは5月2日に、SAG-AFTRAは7月14日にストの決行を発表した。

ワーナー・ブラザース・ディスカバリーやパラマウント、アマゾン、ネットフリックスらが加入する映画テレビプロデューサー同盟は「人々が仕事に戻れるようにする」ことを目標に掲げ、合意に達することを約束したと述べた。WGAのストライキは先月、開始から100日を突破しており、数多くのテレビ番組や映画の撮影が中断している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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