働き方

2023.09.11 10:00

社外メンターと見つける十人十色な自分らしい働き方

女性の管理職登用や育休・時短制度活用が進む一方、いまだ子育てや介護などを機にキャリアを諦める女性は少なくない。社内の女性ロールモデルの不在も理由のひとつだ。Mentor Forはそんな女性に向けたメンタリング事業を展開、多様なキャリアや生き方を経験してきた女性をメンターとして育成し働く女性に社外メンターとしてマッチングする。女性の先輩や管理職が少ない企業で働く人も、同社のサービスを通じて「人生の先輩」をメンターにもつことができる。

創業者の池原真佐子は、経営大学院INSEADで臨床組織心理学を学び、組織開発全般を行う会社を創業。30歳を過ぎて子どもを授かることへのプレッシャーもあり「自分の使命が定まらないまま、モヤモヤと仕事をしていた」と池原は振り返る。

そんな矢先、子どもを授かるも配偶者の海外転勤が決まり、ワンオペ育児と会社経営の両立に乗り出した。「子どもや家族への愛情とキャリアをトレードオフする生き方は、私には合わない」。覚悟を決めたものの、「ママなのに転勤帯同しないの?働いてどうするの?」といった声も。制度が確立されても、ジェンダーロールに縛られた社会的圧力はなかなか消えない。

メディアで取り上げられる女性はキラキラしすぎてあまり参考にならないと感じ、身近なロールモデルを増やそうと女性向けメンター育成・企業マッチング事業にピボット、Mentor Forとして再スタートした。

メンター育成には池原が学んだ組織心理学理論をベースに「知見の共有やアドバイス」「D&Iへの精通」等を組み込んだ独自のプログラムを活用。個人の相性やメンティーの性格なども考慮し、丁寧なマッチングにこだわる。

昨年は同社のプログラムを利用する女性管理職の交流の場「Leaders & Mentorsプログラム」を開始。多様な業種やライフステージの女性たちが学びあう「ピアメンタリング」も促進する。「多様なキャリアの知見を社会に循環させ誰もが自分の働き方に自信がもてる社会をつくりたい」。


いけはら・まさこ◎早稲田大学大学院、INSEAD卒。PR会社、NPO、コンサル会社勤務を経て2014年に創業。その後、企業のD&I推進に特化した社外メンター育成・マッチングへ事業転換、18年にMentor Forを立ち上げた。ビジネス・キャリアメンター協会代表理事も兼務。

文=菊池友美 撮影=帆足宗洋(AVGVST)

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年9月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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