満月の間のこの感受性の高まりは、ナビゲーションや獲物の位置、あるいは環境の変化に対応した行動の調整に役立っているのかもしれない。一説によると、満月になると月明かりが増し、獲物を見つけやすくなるため、狩りの能力が高まるのだという。とはいえ、ヒラシュモクザメが異なる月相の間に地磁気の手がかりをどのように利用するかを完全に理解するためには、さらなる研究が必要である。
この研究の興味深い点の1つは、サメグループの構成である。54頭のサメがメスと確認され、1頭は性別が不明だった。単独行動が典型的なヒラシュモクザメだが、それにもかかわらずランギロア環礁とティケハウ環礁は、集合場所として機能している。
サメたちは、互いに交流はないものの、月の周期とマダラトビエイ(Aetobatus ocellatus)の出現に相関する外的要因によって、これらの場所に引き寄せられたようだ。この調査から「マダラトビエイの集まりは、ヒラシュモクザメにとって予測可能なイベントであり、その捕食がヒラシュモクザメの季節的出現の原動力である可能性が高い」ことがわかる。
マダラトビエイ(shutterstock.com)
ヒラシュモクザメの個体群におけるオスとメスの分離は新しい観察だが、アカシュモクザメ(Sphyrna lewini)では以前に記録されている。特定の期間にオスがいないことから、このような集まりとヒラシュモクザメの交尾サイクルに関連がある可能性が示唆される。この季節は、南半球でのこれらのサメの出産期間と一致している。さらに、ラグーンとその保護された暖かく浅い沿岸海域は、さまざまなサメ種の保育場として機能していることが知られている。
これらの集まりが起こる正確な理由はまだ確認されていないが、少なくともこれらの絶滅危惧種の生存と繁栄のために保護が必要な重要な場所に光を当てる発見である。研究の著者らは以下のように強調する「この研究の結果は、大型ヒラシュモクザメの保護のための、環礁の重要性を強調している。ツアモツ諸島を構成する80以上の環礁のうち、少なくとも18の環礁で、ラグーンの内外を問わず、釣り人によるヒラシュモクザメの目撃情報がある」
(forbes.com 原文)