米東海岸で「人食いバクテリア」感染増加の恐れ CDCが警告

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米疾病対策センター(CDC)は1日、海水温の上昇とハリケーン「イダリア」の影響により「人食いバクテリア」と呼ばれる細菌ビブリオ・バルニフィカスの感染者が増加する可能性があるとして、医療関係者に注意を呼び掛けた。

ビブリオ・バルニフィカスは、牡蠣などの海産動物を生で食べたり、傷口が生の海産動物やその体液、海水、汽水(淡水と海水が混ざった水)に触れたりすると感染する。

CDCによると、7月から8月にかけてニューヨーク、コネティカット、ノースカロライナの東部3州で少なくとも5人が感染により死亡。また南部フロリダ州でも、1月から8月にかけて26人の感染者と5人の死亡者が出たことが、州保健当局により報告されている。

コネティカット州では7月1日以降、3人の感染者が確認されている。州公衆衛生局によれば、年齢は60~80歳で、全員が入院。2人はロングアイランド海峡の汽水域で泳いでおり、3人目は州外産の生牡蠣を食べていた。死亡したのは1人のみだった。

ニューヨーク州での死者は1人のみ。ノースカロライナ州での死者は3人で、うち2人は同州と別の東部州の2カ所で汽水に触れていた。3人目はノースカロライナ州の汽水に触れた他、自分で獲った魚介類を食べていた。

ビブリオ・バルニフィカスは沿岸部の水中に生息。暖かい海水中の甲殻類や魚介類に付着し、周囲の海水中にも遊出する。CDCは、傷口のある人は水の中に入らないよう勧告している。

ハリケーンが到来すると、それにともなう高潮、洪水によって海水が内陸部に入り、感染の可能性が高まる。2022年には、ハリケーン「イアン」の接近後、38人の感染者と11人の死者が報告された。

先週のハリケーン「イダリア」到来以降、感染者は報告されていないが、フロリダ州保健省の報道官はNBCに対し「非常事態宣言が出された直後」に感染の可能性について住民への警告を開始したと語っている。

CDCによると、米国では年間8万人が感染し、100人が死亡していると推定される。
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翻訳・編集=遠藤宗生

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