“働く環境”に投資する企業が増加
国内には同様のサブスクサービスがいくつかあるが、ソーシャルインテリアのユニークポイントは“長期利用”が前提という点だ。「高い家具をサブスクで分割購入できる」というイメージに近い。これが「オフィス移転の際の初期費用が抑えられる」という理由で法人に刺さった。すでに1000社以上が導入している。「実際に、満期の2年間使用してそのまま自社の所有物として使い続けるというケースが多くなっています。人気のあるブランド家具や家電を扱っているからこそ継続いただいていると思います」
町野は、近年の法人需要の高まりについて次のように語る。
「まず、2018年の働き方改革の影響で、“働く環境”に投資する企業が増えました。オフィスに仮眠スペースやラウンジなど、リラクゼーションスペースをつくる企業も増えましたね。それが、2020年にはコロナ禍に突入してリモートワークも増え、オフィスに必要とされる要素がガラッと変わってしまいました」
ソーシャルインテリアが手がけたジャンプコーポレーションの執務スペース
現在は再び出社を推奨する企業も増え、変化の兆しがある。日々多くのクライアントから相談を受ける町野は、次のように話す。
「“出社するかどうか”は業態や職種によって判断が異なり、正解はないと思います。ですが、コロナ禍で、出社しなくなると会社に対する従属意識が下がるということは見えてきました。今は“出社したくなるオフィス”のデザインとはどんなものか、と悩む経営層の方が増えています」
町野いわく、いいオフィスの条件は“いつ出社しても同僚と適度な距離を保つことができ、快適に業務に取り組める環境”があること。こうした従業員が働きやすい環境の整備は、事業をポジティブにドライブさせることにもつながるという。
家具業界のDX推進にも注力
2022年3月にはsubsclifeからソーシャルインテリアへの社名変更とともに「よいものが、循環する社会へ」というブランドステートメントを打ち出した。サブスク事業にとどまらず「よいものが循環するサステナブルな仕組み」の構築を目指している。「“当社の目的は何か”と改めて考えたときに、サブスクは手段だと気づきました。だから、ブランドのあるべき姿を明確に示して、社名もより目的を表現できるものにした方がいいと考えました」(町野)
現在はサブスクの取り扱い商品を家具や家電だけでなく、アートや観葉植物などにも拡充している。さらに、家具業界のDX推進事業にも注力する。協力メーカーとの間で受発注のシステム統合を目指した「ソーシャルインテリア 業務管理クラウド」を開発し、8月にローンチした。
日本の家具サブスクのパイオニアとして、自社のみならず業界全体の成長にもつながるビジネススキームで「家具業界の革命」、そして「よいものが、循環する社会」の構築を実現していく。