対照的だったのがこのアクシデントのすぐ後、2018年12月20日午後に起きた韓国海軍艦艇による海自哨戒機への火器管制レーダー照射事件だった。この事件では、韓国側が事実関係の把握に手間取った。海自と韓国海軍のホットラインもないため、日本政府は事件翌日の21日午後、ソウルの日本大使館を通じて韓国国防省に事件を通報し、対応を求めた。韓国国防省は通報の3時間後、「通報された事実はない」とする一方、「非公開の実務協議で問題処理にあたりたい」と回答。問題解決ができないまま、21日午後7時に日本側が事態を公表し、政治問題に発展してしまった。
高田氏は「ホットラインによって日韓の信頼関係が高まれば、弾道ミサイル防衛にも大いに役立つでしょう」と語る。韓国は弾道ミサイル防衛のため、地上のグリーンパインレーダーや海上のイージス艦を使っている。高田氏は「弾道ミサイルのブースト(上昇)段階のデータを韓国からもらえれば、より正確な軌道がわかります。間違いなく日本の防衛に役に立ちます」と語る。
日米韓首脳会談については、北朝鮮が「日本と『大韓民国』の手足を『アジア版NATO(北大西洋条約機構)』に縛り付けて巨大な反ロシア・反中国包囲網構築しようとする米国の悪巧み」(強純男国防相の談話)、中国が「中国脅威論というデマを拡散させた」(中国国営通信新華社の評論)と、それぞれ怒りを隠さないでいる。それだけ、日米韓の安全保障には意味のある合意だったということなのだろう。
過去記事はこちら>>