米紙ニューヨーク・タイムズが報じたところによると、米SNS大手メタは広告やプライバシーに関する欧州連合(EU)の規制を回避するために、欧州でサブスクリプションモデルに移行する可能性がある。米テック系ニュースサイトのThe Vergeによれば、ここで問題となっているのは、欧州のユーザーデータがどのようにしてメタ本社のある米国に転送され、広告主に提供されているかだ。
これがどういう仕組みになっているかは、知っている人も多いだろう。ユーザーがフェイスブック上に投稿されたスポンサー広告をクリックすると、メタはそのやりとりを一瞬のうちに記録し、その内容に沿った広告を送り始める。
その早さと効率の良さは驚くほどだ。私の経験では、ディスクゴルフに関するスポンサー付き投稿をクリックしただけで、数分もたたずしてディスクゴルフの広告が大量に表示されるようになった。
こうした広告手法は、実際に効果的だ。私の場合も、持っているディスクが家のそばの暗い森に入り込んでしまうことが多いため、広告をきっかけに新しいディスクを購入した。
EUの規制当局が問い続けているのは、この種のトラッキングが本当に合法なのか、さらに重要なのはEU一般データ保護規則(GDPR)に違反しないかということだ。
プライバシーにはさまざまな形態がある。多くの人は、プライバシーは自分の名前やクレジットカード情報、そして電話番号に関するものだと思っている。Innovaのような小さなディスクゴルフの会社が私の購買習慣を知ることがプライバシー侵害に値するのかどうか、私はしばしば疑問に思ってきた。また、多くのユーザーは、カスタマイズされた広告がうっとうしく立ち入ったものだと感じていながらも、それを我慢している。
メタにとって、自社がこの広告モデルにおけるプライバシーをどう定義するかは重要ではない。同社がどう考えようと、法律は存在する。メタは以前にもデータ保護違反でEUから制裁金を科されており、同社が回避策を検討しているという事実だけを見ても、罰金に神経をとがらせているということがうかがえる。