スウェーデンの「ManoMotion」によるAIハンドトラッキング
ManoMotionは民生・産業用のVR/ARデバイスと関連する、AIによるハンドジェスチャートラッキング技術を開発するスウェーデンのスタートアップだ。IFAの会場にはチェコのVRヘッドセットのメーカーであるVrgineersと共同で開発した、戦闘機のパイロット向けフライトシミュレーターを展示した。筆者も体験した戦闘機のパイロット向けフライトシミュレーター
Vrgineersの「XTAL 3」は産業用途向けに開発された、片目4K解像度の高精細な映像を再現できるVRヘッドセットだ。対になるモーションセンサーにより、装着したユーザーの顔の向きを追尾する機能がある。今回ManoMotionと共同で開発したプラットフォームは、ヘッドセットのフロント側に追加したRGBカメラでユーザーの左右の手の動きをリアルタイムにトラッキングして、VR映像の中に画像を取りこむ。例えばコックピットの計器を操作したり、操縦桿を握る動作が映像の中に反映される仕組みだ。ManoMotionのヨアキム・ヘデンシュテット氏は「とても高価な戦闘機のフライトシミュレーターを、格段に安価に実現できるソリューションとして注目してほしい」と呼びかける。
カメラで捉えたユーザーの手の動きがVRの画面内に反映される
ヘデンシュテット氏によると、ManoMotionによる独自のAIと機械学習のソフトウェア技術は、さまざまなVR/ARのハードウェアとのつなぎこみが容易に実現できるという。特別なハードウェアを必要とせず、同社が技術のデモンストレーションのために提供するモバイルアプリ「ManoMotion Hand Occlusion」をiPhoneに導入すると、フライトシミュレータにも活かされている同社の要素技術が簡単に体験できる。
ManoMotionのヨアキム・ヘデンシュテット氏(右側)とマヌ・マーティン氏(左側)
ハンドトラッキングを応用した「SaferHands」の技術は、工場などで働く作業員の安全管理を目的として同社が開発したソリューションだ。電動ノコギリなど、作業員が使う工作機器にManoMotionのセンサーを取りつける。作業員が誤ってノコギリが動く軌道上に指を置くと、自動的に動作が停止して怪我を未然に防ぐ。すでにいくつかの工場で運用も始まっているという。
先日には日本の企業との代理店契約も決まった。ヘデンシュテット氏は今後、ManoMotionが得意とする技術を日本にも広く紹介したいと意気込みを語った。
ハンドトラッキングの技術は、工場作業員の安全を守る技術にも展開されている
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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