6カ国が新加盟し拡大するBRICS、G7の脅威になるか

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新興経済国で形成されるBRICSは、8月24日に開催された年次首脳会議で、新たに6カ国の加盟を承認した。グローバルサウスにおいてG7に対抗しうる組織を形成するというビジョンを明確化した動きだ。

サウジアラビア、イラン、エチオピア、エジプト、アルゼンチン、アラブ首長国連邦は、2024年1月1日付でBRICS加盟国となる。2010年に南アフリカが加盟して以来となる今回の拡大は、湾岸地域などから影響力のある国を迎えるもので、BRICSにさらなる地理的多様性をもたらすことになる。ただし、経済規模や人口の観点から見ると、新規加盟国の中にインドや中国のような巨大国家はなく、またロシアやブラジルといった比較的経済発展の進んだ国もない。

●G7とBRICS(およびBRICS新規加盟国)のグループ間比較(データは2023年8月現在、出典:ロイター、世界銀行)

・名目GDP:
G7 43兆7700億ドル(約6397兆3600億円)
BRICS 25兆9100億ドル(約3789兆9700億円)
BRICS新規加盟国 3兆2400億ドル(約473兆5500億円)

・購買力平価(PPP)GDP:
G7 49兆2300億ドル(約7195兆3800億円)
BRICS 52兆3200億ドル(約7647兆100億円)
BRICS新規加盟国 7兆8300億ドル(約1144兆4200億円)

・人口
G7 7億7520万人
BRICS 32億4810万人
BRICS新規加盟国 4億1500万人

世界銀行のデータによれば、6カ国の新規加盟は、BRICSのGDPを、(名目でも購買力調整後でも)わずかに増加させるのみだ。しかし、購買力平価(PPP)の点においては、2020年にG7を上回ったBRICSの購買力平価GDPを、新規加盟国が加わることによってG7をさらに引き離すことになる。

インドと中国を擁するBRICSは、人口でG7を大幅に上回る。しかし同時にそれは、BRICSの1人あたりGDPが、ヨーロッパや北米と比べて、依然としてはるかに低いことも意味する。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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