ネトフリ実写版『ONE PIECE』シーズン2についてわかっていること

安井克至

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ネットフリックスが先日配信を開始した名作漫画・アニメ原作の実写ドラマ『ONE PIECE』をすでに見終わった人なら、エンディングが原作の終わりのないストーリーへと続くようなものだったことはわかっただろう。ただ、実際にシーズン2でその続きを見られるかどうかは、まだわからない。

製作会社の中には、大きな予算を投じる作品については配信/上映前から投資をサンクコスト(埋没費用=回収できない資金)として扱う企業もあるが(アマゾンの『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』がそうだった)、ネットフリックスはそうではない。ネットフリックスの新作ドラマは、第2、第3シーズンへと続かずに打ち切られることが多く、どんな作品でも安心はできない。

しかし、『ONE PIECE』の好調な滑り出しは朗報だ。批評家や一般視聴者の評価が高いこともそうだが(ただし、ネットフリックスはこうした評価はあまり気にしていないようだ)、さらに重要なのは、配信初日に1位となったことだ。

これは願ってもない好スタートだ。ただ、実際の視聴回数はまだ公表されておらず、今できることは、チャートの順位からわずかな手がかりを探ることのみだ。2位以下に入っている作品をみると、競争はあまり激しくないようにも見える。

米国での2位は、長寿の秘訣(ひけつ)に迫る一風変わったドキュメンタリー。3位はスペインを舞台にした英国のドラマで、短期間しかトップに留まれなかった。残りはリアリティ番組や、かなり前に人気のピークを迎えていたものばかりだ。それでも、『ONE PIECE』が2位や3位でデビューするよりはマシなのは確かだ。

第2シーズン製作にあたり、原作が問題となることはないのは明らかだ。アニメは1000話以上続いているのだから、ネットフリックスはその気になれば、ドラマを100シーズン作ることだってできる。もっと大きな問題は、原作の中から実写化すべきもの、すべきでないものを選別することだろう。

もちろん、シリーズ続行を決める上で最も重要なのは視聴回数だ。非常に高いとみられている『ONE PIECE』の製作費を正当化できるだけの視聴回数が必要となる。

また、米国のエンターテインメント業界で進行中のストライキも影響するかもしれない。過去には、こうしたストによって、本来なら続いていたかもしれなかった番組が打ち切られたことがある。ネットフリックスは今回のストで、俳優や脚本家に支払う報酬の低さを批判されているストリーミング大手の中に含まれており、今のところ労働組合側の要求には応じていない。

『ONE PIECE』のような大作ドラマであれば通常、新シーズンまでには少なくとも15〜18カ月かかる。だが今の状況をみると、第2シーズン製作が決まったとしても、その配信までには少なくとも2年はかかるのではないだろうか。

滑り出しが好調なのは確かだが、それがいつまで続くのか、そしてネットフリックスが1週間後、さらには1カ月後に公表する視聴回数がどうなるかを見守る必要がある。それ以前に何らかの発表があったとしたら、驚きだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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