不安コントロールに距離感がもたらす影響
距離感テクニックは、自分の思考と自分自身の間に心理的な余白を作り、中立的な視点から思考を観察できるようにする手法だ。自分の心とネガティブな思考とが自動的につながった状態を断ち切ることで、客観的な分析が可能になる。心理学者でベストセラー著書『Chatter(チャッター)―「頭の中の1人ごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』の著者でもあるイーサン・クロスは「自分の置かれた状況を狭い視野で捉えてしまうと、逆境が誇張され、否定的な内なる声が再生されて、ぐるぐる思考、ストレス、不安、抑うつにつながる」と指摘している。
自分自身と距離を置き、より広い視点から問題を見るための4つの方法を紹介する。
1. ミツバチのようにズームアウトする
職場の不安に折り合いをつける上で重要な要素の1つは、認知的距離をとる習慣をつけることである。ミツバチになったつもりで、気持ち的に一歩引いたところから客観的に状況を観察してみよう。自分を頭上から俯瞰できただろうか。何が見えるだろう。自分は今どんな振る舞いをしている? 他に何かできることはあるだろうか。2. 時間的に距離をとる
もう1つの効果的なテクニックは、時間的距離を置くことである。ストレスのかかる状況に直面したら、時間が物事を大きく変える可能性があることを思い出そう。困難な状況がそのうちに解消された経験を踏まえ、現状も同じように解決できるかもしれないと考えてみる。イーサン・クロスは、未来への思考のタイムトラベルも推奨している。10年後の自分ならその問題をどう受け止めるだろうかと想像することで、問題を大局的に捉え、今の試練は一時的なものだと認識できるようになる。