UNDER 30

2023.09.06 08:15

アパレルの「再販」を支援するため、35億円を集めた起業家

田中友梨
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私がアーカイブを作る「理由」は、本当に気候変動から始まるのですと、ギティンズは言う。COURTESY OF GITTINS

※本記事は、米Forbes「30UNDER30」ニュースレターの翻訳です。

多くの人は、クローゼットの大掃除を長い間避けている。そして、起こるかどうかわからない”特別な機会”のためのアイテムを持っているだろう。

そうした”古いアイテム”の処分は、エミリー・ギティンズが手助けしてくれる。過去に「30UNDER30 リテール&Eコマース部門」に選ばれたことがある彼女は、古い服や未使用の服を簡単に再販できる事業を展開している。

「再販」市場の活性化に挑む

2021年、彼女はオスカー・デ・ラ・レンタ、ウラ・ジョンソン、ザ・ノース・フェイスなどの衣料品販売業者と共同で、この再販プログラムを立ち上げるために、ソフトウェア開発会社「アーカイブ」を設立した。その後、ライトスピード・ベンチャーやベインキャピタルなどから2400万ドル(約35億円)の資金を調達している。

ギティンズはスタンフォード大学のMBAと環境・資源プログラムの修士課程に在学中、ファッションが世界の温室効果ガス排出量の10%近くを占めていることを知った。そのうち80%は、新しい製品の生産によるものだということも。そこで彼女は、2年間にわたって消費者やブランドに「中古品に関する習慣」についてインタビュー調査をした。彼らのフィードバックをもとに起業したのだ。

「最初のアイデアは、ブランド化されたP2Pマーケットプレイスを立ち上げることでした。ポッシュマーク(米国のファッション特化型フリマサイト)を想像してもらえばいいのですが、完全にホワイトレーベル化することで、顧客同士が直接売買できるようにするのです」

このようなCtoCモデルは依然として同社の事業の重要な部分を占めているが、最近は再販に関する複数のモデルを導入している。例えばブランド・パートナー向け展開しているのが、顧客が商品を購入した店舗にユーズド商品を持ち込む「引き取りプログラム」だ。

さらに再販倉庫管理ソフトウェアも構築。再販在庫、クリーニング、写真撮影、注文処理などすべてを管理できるようにした。また、まだ採算は取れていないが、ブランド・パートナーが使用済み商品をリサイクルし、好きな団体に寄付できるような支援も行っている。

「私たちは、どのブランドにも広く再販をやってほしいと思っていますが、ブランド内での循環にも重点を置いています」とギティンズは言う。「再販がブランドの収益の10%〜20%になり得ることを証明することが、私たちの目標になっているのです」
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翻訳=上西雄太

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