ブルームバーグのマーク・ガーマン記者によると、アップルはApple Watch Series 9の一部のモデルで使用されるステンレススチール製ケースを3Dプリンターで製造するテストを行っているという。これは非常に大きな変化だ。
ガーマンによると、アップルはSeries 9の生産量の10%を占めるステンレススチール製ケースで、この取り組みを開始するという。現在のApple Watchのケース素材は他にアルミニウムがあり、Apple Watch Ultraにはチタニウムが使われている。
現行のステンレスチール製モデルには、従来の製法である「鍛造」が用いられている。この製法は、材料である金属のブロックをデバイスのサイズに近い小さな塊にするために用いられる。その後、CNCマシンを使って切削加工を行い、部品を完成させる。
しかし、3Dプリンターを用いることで、生産ラインを合理化し、製造にかかる時間を短縮すると同時に、より少ない材料で製造が可能になるという。
ガーマンによれば、新たな技術はバインダージェット方式と呼ばれるもので、粉末状の物質を3Dプリンターで噴射して、ケースサイズに近いものを作り上げ、その後、焼結と呼ばれるプロセスで仕上げを行うという。
3Dプリンターへの移行は、開発段階では高価なようだが、時間の経過とともにコストが下がる可能性がある。「現状では、新たなプロセスによるケース1個あたりのコストは、以前の方法と同等だ」とガーマンは述べている。
今のところ、アップルは3Dプリンターを用いた製造を一部の製品に限定しているが、将来的にはより多くのデバイスに用いることを検討している。チタン製部品も3Dプリンターで製造可能とされ、将来のApple Watch UltraやiPhone Proがこのプロセスで作られる可能性もある。
通常のApple Watch Series 9は、現在のところアルミニウム製になることは間違いないが、アップルはこの素材で3Dプリントしたケースを大量生産する技術をまだ確立していない模様だ。
(forbes.com 原文)