ことごとく批判される教授の考え
ローブは数十年の間、天文学と天体物理学の分野で過ごし、その大部分はブラックホールの研究を行ない名声を得た。ハーバード大学天文学科のトップを務めたこともある。彼の経歴が突然変わったのは、2017年にオウムアムアと呼ばれる細長い奇妙な天体が、太陽系を通貨する予測不可能な動きを見せたときだった。その天体は別の恒星系から近隣宇宙に立ち寄り、太陽を急旋回した後、不可解な加速をして深宇宙へと戻っていったようだった。
オウムウムア(shutterstock.com)
控えめにいっても、科学界はローブの仮説を支持していない。
アリゾナ州立大学の宇宙物理学者スティーブ・デッシュは、オウムアムウからIM1まで、ローブの考えをことごとく批判している。ローブのチームが苦心して採集した隕石破片の事例で問題になっているのは、軍事的な観察結果が、IM1は星間起源だと指摘していることだ。
「この数値を信じている科学者はいません。IM1は太陽系起源である可能性が極めて高いと考えます」とSkeptic Magazine編集長のマイケル・シャーマーにデッシュが語っている。
データで問題になっているのは、機密扱いであるため科学者が検証できないことだ。ローブは、米国防省の天文学者チームの数値を二重にチェックしてからNASAに報告したという言葉に満足しているとシャーマーのインタビューで述べている。
ローブの発見とやり方に対しては他にも多くの批判があり、この動画でローブがシャーマー相手に話している内容にも批判がある。
批判の中で、最も基本的で説得力があるのは、採集された小球と太平洋上空で10年近く前に観察された隕石の間に強い関連性が確立していないという単純な事実だ。
デッシュは、ローブが発見した物質の起源でありうるものは他にもあると指摘し、地球の火山や人間の産業活動などを例に挙げている。それだけでも、ローブ批判を煽るのに十分な合理的疑いである。
しかしローブは、近い将来に探索を諦めるそぶりは見せておらず、おそらくこの小球の山は、数年後には恒星間天体の到来を示す証拠の一部となっているだろう。
(forbes.com 原文)