批評サイト「ロッテン・トマト」では、本稿執筆時点で批評家によるレビューが18件掲載されており、平均スコアは78%と上々だ。だが、もっとすごいのは一般視聴者による評価で、すでに1000件以上あるレビューの平均スコアはなんと95%となっている。
「観る人は原作のファンなのだから、高評価するのは当たり前だ」と思う人もいるかもしれないが、現実はむしろ逆だ。実写版のクオリティが期待する水準に達していなかったら、原作ファンの評価は非常に厳しくなり、スコアはむしろどん底に落ちていたことだろう。このスコアは、今回の実写化が成功したことを示している。
ネットフリックスによる過去の実写化作品と比較してみよう。アニメ『カウボーイビバップ』の実写ドラマ版は、批評家スコアが46%、視聴者スコアが60%。酷評された『デスノート』の実写映画は、批評家が36%、視聴者が23%だった。特に、不朽の名作とされる作品が原作の場合、実写版がそれに及ばないとファンは猛反発する。
実写版『ONE PIECE』は、時間の尺からみても、予算からみても大作だ。シーズン1は全8話で、その大半が1時間近くある。他のネットフリックスオリジナル作品より少し長いが、原作アニメが1000話以上続いていることを考えれば、計8時間は手はじめとしては順当なところだろう。
予算を考えると、第2シーズン以降が製作されるためには極めて良い業績を残す必要があるが、長期シリーズ化したとしても、原作のストーリーが足りなくなることはない。
ここまでの高評価を得ているのだから、滑り出しが順調なのは間違いない。また、原作は世界的な人気作であるため、今後も期待できるだろう。ネットフリックスの人気コンテンツランキングが更新された際には、1位でデビューを果たすのではないだろうか。
ネットフリックスには、こうしたヒット作が必要だ。『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が間もなく終了するため、その空白を埋めるものが必要なのだ。『ONE PIECE』はおそらく、『ストレンジャー・シングス』ほどの桁外れな人気は得られないだろうが、良い作品であり、熱烈なファン層が存在する。視聴者が集まれば、十分な長さのシリーズとして存続できそうだ。
(forbes.com 原文)