米スタンフォード大学予防研究センターのモリー・ボードリングらが学術誌Journal of Studies on Alcohol and Drugsで8月30日に発表した論文によると、酩酊状態の被験者は、魅力を感じている人にアプローチする確率が1.71倍高くなり、アルコールの力で勇気が出る「リキッド・カレージ効果」が生じていることを示唆した。
ボードリングらは、男性同士の友人ペア18組を募り、写真や動画にうつった人たちの魅力度を評価してもらった上で、将来もし出会うことがあったら誰と話してみたいかを尋ねた。友人同士に参加してもらった理由は、現実世界で酒を飲む状況を再現するためだ。
被験者はまず、血中アルコール濃度が0.08%以上になった状態で女性の写真や動画を見せられ、その後しらふの状態で再び写真や動画を見せられた。すると、アルコールは女性にどの程度の魅力を感じるかには影響しないが、魅力的な女性トップ4人にアプローチする可能性を高めることが示唆されたという。
一方、「ビール・ゴーグル効果」について調べた2020年の研究論文では、男女129人を対象とした実験で、酔った人にとって魅力的な人の顔と魅力的ではない人の顔は「同じ程度、注意を引く」ものであることが示されていた。
だがこの論文の共著者である英エッジ・ヒル大学のレベッカ・モンク教授(心理学)は英紙ガーディアンに対し、この研究では被験者に対して写真の女性と実際に会える可能性を示唆する「現実的要素」が欠けていたと説明。米スタンフォード大による最新の研究は「いわゆる『ビール・ゴーグル』だけでなく、『リキッド・カレージ』の研究も可能にするものだ」と指摘した上で、酩酊度合が高くなった場合にこの二つの現象がどのような影響を受けるかを調べる追加研究が必要だと述べている。
(forbes.com 原文)