米学術誌「エンバイロンメンタル・ヘルス・パースペクティブ(EHP)」に掲載された論文によると、コロンビア大学メールマン公衆衛生大学院の研究者らは、大麻のみを使用している人のグループと、大麻を使用せず、たばこも吸わない人のグループなどを比較した。
すると、大麻のみを使用している人のグループは、大麻を使用せずたばこも吸わない人のグループと比べて、血中鉛濃度が27%、尿中鉛濃度が21%、統計的に有意に高いことがわかった。カドミウムに関しても血中濃度で22%、尿中濃度で18%高かった。
研究グループは、大麻は金属を蓄積することが知られているため、使用者は非使用者よりも金属バイオマーカー値が高いという仮説を立てた。結果からは、大麻がカドミウムと鉛への曝露源になっていることが示唆された。
同大学院のティファニー・サンチェス助教は今回の研究について、大麻の使用による金属への曝露が健康に及ぼす影響の解明に寄与するのが目的だと説明している。
米環境保護局(EPA)によると、鉛に関して体内で安全とされる量は存在しない。一方、カドミウムは毒性があることが広く知られている。サンチェスは、これらの物質が大麻使用者の体内から有意に多く検出されたのは懸念されると述べている。
規制の不備
米疾病対策センター(CDC)によると、たばこの煙などを通じてカドミウムにさらされると腎臓病を引き起こしたり、骨がもろくなったりする可能性がある。カドミウムは発がん性物質ともみなされている。鉛への曝露も、健康上、深刻な影響をもたらすおそれがある。米大手医療機関のメイヨー・クリニックによれば、鉛への曝露による影響のリスクが最も高いのは子どもで、大人も高血圧や頭痛、関節痛、筋肉痛、不妊症などを発症する可能性がある。
米国では23州とワシントン特別区で嗜好(しこう)目的の大麻使用が合法化されているが、連邦レベルではまだ違法だ。そのため、大麻製品に含まれる汚染物質に関しては規制が整備されていない。
コロンビア大学の研究チームは、大麻による金属への曝露が公衆衛生上もたらしかねない懸念について、さらに研究を重ねていく必要があると提言している。
(forbes.com 原文)