8月、次世代を担う「30才未満の30人」を選出する「30 UNDER 30 JAPAN 2023」のENTERTAINMENT & SPORTS部門の受賞者に選出された。
雨無がこれまでに手掛けた映画は13本。近年の代表作に、主演俳優も企画に携わったアベラヒデノブ監督の「ジャパニーズ スタイル/ Japanese Style」(2022年)、藤井道人と共同でプロデューサーを担った「生きててごめんなさい」(2023年、山口健人監督作品)など。社会への問いかけと制作者の熱い想いを大切にした、丁寧な作品づくりが特徴だ。
映画だけでなく、ドラマやMV、バラエティ番組も手掛ける。バラエティ番組では、テレビプロデューサーの佐久間宣行とともに制作した「トークサバイバー!〜トークが面白いと生き残れるドラマ〜」(2022年、Netflix)や「インシデンツ」(2023年、DMM TV)も話題となった。
映画好きはホストファミリーの影響
雨無が映画にハマったのは、高校1年生のとき。カナダに短期留学した際のホストファミリーが、週に5回「映画館に行こう」と言うほどの映画好きで、その影響を受けた。中でも印象に残っているのが、ドライブインシアターで観たコメディ映画「奇人たちの晩餐会 USA」(2010年)だ。「ホストファミリーとは言葉の壁があったけれど、映画を通して笑いをシェアできて。それが大きな喜びであり、気づきでした」
その後も、映画を通じて勉強が楽しくなったり、映画で表現されている哲学に救われたりといった経験を重ね、どんどん映画にのめり込んでいった。
「ハッとさせられるような気付きのある作品が好きです。観ていて『そういえば自分も、実生活でこういう部分を優しくできなかった…考えが及んでいなかった…』などと気付かされちゃう、みたいな。ジャンルにはあまりこだわらないですが、しいて言うならホラーやコメディは好きです」
「プロデューサーが向いているんじゃないか」
大学生になると、「映画に関わる仕事がしたい」と積極的に行動するようになる。映画館でアルバイトを始めたり、映画の撮影現場に行ってみたり。「なりふり構わずいろいろやりました」と振り返る。映画祭にも運営スタッフとして参加し、第3回日本学生映画祭(2013年)で代表、第26回東京学生映画祭(2014年)では副代表を務めた。