映画

2023.09.03 17:00

映画プロデューサー、雨無麻友子。世界で「100年愛される作品」をつくる

雨無麻友子 写真=帆足宗洋(AVGVST)

雨無麻友子 写真=帆足宗洋(AVGVST)

映画プロデューサーは、ひとつの作品の企画から制作、宣伝まですべての責任を負う存在。通常は長くキャリアを積んでから就くような重役だが、若くして独立し、第一線で活躍しているのがスタジオねこ代表取締役の雨無麻友子だ。

8月、次世代を担う「30才未満の30人」を選出する「30 UNDER 30 JAPAN 2023」のENTERTAINMENT & SPORTS部門の受賞者に選出された。

雨無がこれまでに手掛けた映画は13本。近年の代表作に、主演俳優も企画に携わったアベラヒデノブ監督の「ジャパニーズ スタイル/ Japanese Style」(2022年)、藤井道人と共同でプロデューサーを担った「生きててごめんなさい」(2023年、山口健人監督作品)など。社会への問いかけと制作者の熱い想いを大切にした、丁寧な作品づくりが特徴だ。

映画だけでなく、ドラマやMV、バラエティ番組も手掛ける。バラエティ番組では、テレビプロデューサーの佐久間宣行とともに制作した「トークサバイバー!〜トークが面白いと生き残れるドラマ〜」(2022年、Netflix)や「インシデンツ」(2023年、DMM TV)も話題となった。

映画好きはホストファミリーの影響

雨無が映画にハマったのは、高校1年生のとき。カナダに短期留学した際のホストファミリーが、週に5回「映画館に行こう」と言うほどの映画好きで、その影響を受けた。中でも印象に残っているのが、ドライブインシアターで観たコメディ映画「奇人たちの晩餐会 USA」(2010年)だ。

「ホストファミリーとは言葉の壁があったけれど、映画を通して笑いをシェアできて。それが大きな喜びであり、気づきでした」

その後も、映画を通じて勉強が楽しくなったり、映画で表現されている哲学に救われたりといった経験を重ね、どんどん映画にのめり込んでいった。

「ハッとさせられるような気付きのある作品が好きです。観ていて『そういえば自分も、実生活でこういう部分を優しくできなかった…考えが及んでいなかった…』などと気付かされちゃう、みたいな。ジャンルにはあまりこだわらないですが、しいて言うならホラーやコメディは好きです」

世界を変えうる30歳未満にフォーカスする企画「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」も6年目。2023年はパワーアップし、120人を選出した。彼ら、彼女たちが自らの言葉で、過去と今、そして未来を語る。
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「プロデューサーが向いているんじゃないか」

大学生になると、「映画に関わる仕事がしたい」と積極的に行動するようになる。

映画館でアルバイトを始めたり、映画の撮影現場に行ってみたり。「なりふり構わずいろいろやりました」と振り返る。映画祭にも運営スタッフとして参加し、第3回日本学生映画祭(2013年)で代表、第26回東京学生映画祭(2014年)では副代表を務めた。
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文=田中友梨 写真=帆足宗洋(AVGVST) スタイリング=千葉 良(AVGVST) ヘアメイク=KUNIO Kataoka(AVGVST)

連載

30 UNDER 30 2023

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