海外

2023.08.31

ソフトバンク出資のBetter.com、念願のSPAC上場初日に株価94%急落

Getty Images

住宅ローン融資を手がける米スタートアップ「Better.com(ベター・ドットコム)」のビシャル・ガーグCEOは、住宅購入を検討中のミレニアル世代に、数分で事前審査済みのローンが組めるソリューションを提供した。パンデミックで住宅ローン需要が急増する中、同社は瞬く間に黒字化した

2021年にベター社に15億ドルを出資したソフトバンクやゴールドマン・サックスなどの投資家は、同社を特別目的買収会社(SPAC)との合併を通じて上場させ、評価額を77億ドル(約1兆1000億円)に押し上げることを目論んでいた。

しかし、住宅ブームが過ぎ去った今、同社は収益の縮小と資金流出に直面している。過去2年間で7000人の従業員を解雇したベター社は8月24日、SPACのオーロラ・アクイジション・コーポレーションとの合併を通じ「ベターホーム&ファイナンス・ホールディング(BETR)」という社名で株式公開を果たしたが、株価は初日に94%急落して1.15ドルとなった。

一部の投資家は、株価の急落の責任はCEOのガーグのリーダーシップにあると述べている。傲慢なリーダーとして知られる彼は、従業員たちを「間抜けなイルカの群れ」と呼んだこともある。

ガーグは、2021年のクリスマス前のZoom会議で従業員900人を一斉解雇し、彼らを「怠け者」と揶揄したことで、強い非難を浴びた。ベター社を支援する投資家の1人は「彼は、調子が良いときは賢く見えるが、リーダーにふさわしい人物とは言い難い。彼は、自身の傲慢さで身を滅ぼした」と述べている。

ベターの広報担当者のジェシカ・シェーファーは声明の中で「当社は上場企業となることで、長期的な成長を遂げることができる」と述べた。彼女は、ガーグのリーダーシップや、経営陣が会社に将来性があると考えているかどうかについての質問には答えなかった。

ソフトバンクはコメントを控えた。ゴールドマン・サックスはフォーブスのコメント要請に返答しなかった。
次ページ > 2年間で10億ドル以上の損失

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事