ニュージャージーの投資会社Stourbridge Investmentsは8月23日、カリフォルニア州の連邦裁判所に提出した訴状で、ディズニーの幹部らが2020年12月以降に、Disney+の損失の状況について「繰り返し投資家を欺いた」と主張している。この件は、ハリウッド・レポーターが最初に報じた。
この訴訟は、ディズニーの元CEOのボブ・チャペックや現CEOのボブ・アイガー、元CFOのクリスティーン・マッカーシーに加え、他の複数の現・元幹部らを相手取って起こされた。訴状では、同社による「不当な行為と不作為」がディズニー株の市場価値の急落につながったとされている。
原告は、ディズニーの幹部らが3年前、Disney+が2024年までに黒字化し、2億3000万人から2億6000万人の加入者を獲得すると予測した際、このサービスの財務的将来について「重大な虚偽の説明」を行なったと主張している。ディズニーが9日発表した今年6月末時点のDisney+の加入者数は1億4600万人で、動画配信部門の営業損失は5億1200万ドルだった。
この訴訟はまた、ディズニーがDisney+の番組のマーケティング費用と制作費を、同社のレガシーTVネットワークに付け替えることで「プラットフォームの真のコスト」を隠蔽したと主張している。ディズニーは、ストリーミング向けのオリジナルコンテンツを、あえてリニアテレビで先行公開するなどして、この隠蔽を行ったとされている。
ディズニーは、フォーブスのコメント要請に即座に応じなかったが、同社は5月に起こされた類似した訴訟と同様に、自社を「積極的に弁護していく」とハリウッド・レポーターに語っている。
ファクトセットのデータによると、ディズニー株は2020年12月以降に45%下落しており、S&P500の構成銘柄の中で15番目にパフォーマンスが悪い銘柄となっている。
ディズニーのDisney+やESPN+、Huluなどのストリーミングサービスを含む消費者直販メディア部門の損失額は、6月30日までの1年間で37億ドルに達していた。
Disney+を巡る今回の訴訟は、今年2月に物いう投資家のネルソン・ペルツが仕かけた委任状争奪戦に勝利したディズニーの経営陣が直面する最新の頭痛の種だ。ペルツは、ディズニーの「欠陥のある」ストリーミング戦略と「コスト規律の欠如」が、投資家のリターンを減少させたと主張していた。
ファクトセットのデータによると、ディズニー株は現在、2014年以来の安値で取引されているが、配当金支払いを考慮した過去10年間のリターンは54.5%だった。これに対し、同期間に取引されたS&Pの468銘柄のリターンの中央値は187%となっている。
(forbes.com 原文)