2023年7月、韓国ソウルのスタジオ。一人ひとりの撮影を終え、グループでの撮影に入ったときだ。シャッター音が響くたびに空気が張り詰める。ところが、写真チェックになると、彼女たちはごく自然にメンバー同士で手をつないだり、スタジオに流れるXGの曲に合わせて、無意識に踊ったり、鼻歌を歌ったり。自分たちの音楽、そしてメンバーが大好きという空気が伝わってくる。そして、いまこの瞬間を最高に楽しむ姿があった。
彼女たちは流れ星の群集のように、突如として現れ、世界に輝きをもたらした。
22年3月、デビューした7人組ガールズグループ「XG」による、圧倒的に揃ったダンス、歌やラップのキレ、そして「団結力」。鮮烈なパフォーマンス、そしてヒップホップに全振りしたサイファー動画は瞬く間にSNSで旋風を巻き起こした。「K-POPなのか?」「それともJ-POPなのか?」。そんなラベルさえどうでもよくなるほど、新しい形の「X-POP」の誕生に世界が沸いた。
アメリカのZ世代のTikTokで爆発的人気を得て、TikTokを開けば、国を超えてZ世代の若者たちがXGの踊りをコピーして投稿。英語・日本語・韓国語を駆使したラップのサイファー動画は、オリジナルトラックであるJ.I.D本人や、Kelly Rowland、Bebe Rexha、Jackson Wangをはじめとした著名人に注目され、楽曲のリミックスVer.にはRico NastyやCiaraなど、ヒップホップやR&Bの大御所もボーカルとして参加した。
そして、23年5月にニューヨークで開催されたフェス、「Head In The Clouds(HITC)」では初の米国公演にもかかわらず約1万5000人の超満員の観客がXGの登場に熱狂し、衝撃的なパフォーマンス動画もSNSで大いに話題になった。
どんな自分でも、とにかく愛する
XGは、デビュー時から「グローバル・ガールズグループ」を標榜し、英語で歌い、アメリカやアジアを中心に世界中でブレイクしている日本人グループだ。特徴は、パフォーマンスを筆頭としたクリエイティブが世界水準の高さであること。そして、個性を大切にし、7人全員で手をつなぎ合い、ファンとともに連帯する「新たな形」だ。グループ全体では完璧に揃ったダンスを披露しつつ、YouTubeで流れるドキュメンタリー映像には、7人のリアルな個性や「らしさ」を出しながら、たくましく努力し、瞬く間にトップへと駆け上がりつつある姿もある。見る人たちは、彼女たちに勇気づけられ、ともにもっと高みを目指すために努力しよう、人生を楽しもうと後押しされる。