レオパルト2の損失はすべて、マラトクマチカとロボティネを中心とする約40km四方で発生している。ロボティネからトクマクを経由して約80km離れたロシアに占領されている南のメリトポリに至る攻勢軸は、反攻作戦が3カ月目に突入するいま、ウクライナ軍が特に注力しているところだ。
ウクライナ軍は、ロシアの占領下にあるクリミアのロシア軍駐屯地への陸路の補給線を断ち切るため、メリトポリの解放を目指している。ウクライナ軍は着実に前進しているが、その歩みは遅い。第82航空強襲旅団と第47機械化旅団が率いる6つの部隊は先週、ロボティネを解放したばかりだ。
レオパルト2A4とA6はロボティネの北に待機している第33機械化旅団に配備されているが、同旅団はどうやら第47旅団を支援するために戦車中隊を送っているようだ。第82旅団には英国が供与したチャレンジャー2戦車が配備されている。
戦車を展開することで、M2ブラッドレー歩兵戦闘車やストライカー装甲車、マルダー砲兵戦闘車に乗った突撃部隊に威力のある長距離兵器が加わることになる。
これは乗員たちにとって過酷な任務だった。地雷原を進み、大砲の砲撃や大量の自爆ドローン(無人機)「ランセット」に耐え、攻撃ヘリや爆弾をかわしてきた。レオパルト2にとって、地雷とランセットの組み合わせが最も危険だったようだ。地雷は戦車のキャタピラを損傷させて動けなくする。そこへランセットが飛んできて戦車にとどめを刺す。
だが、破壊された5両のレオパルト2のうち4両をとらえた写真や映像には、砲塔や車体のハッチが開いている様子がうつっている。これは乗員が戦車から脱出したことを強く示唆している。ソロニコは、西側の戦闘車両は「命を救う」ものだと書いている。
5両の戦車が使い物にならなくなり、10両が修理のために車両基地に移されたが、ウクライナ軍の旅団はまだ最初に配備された71両のレオパルト2のうち50両超を運用している。来年初めに到着する予定の14両のレオパルト2A4は、損失を補って余りある。
大半のレオパルト2よりも装甲が厚い米国製のM1エイブラムス31両など、さらに多くの西側製の戦車がウクライナに向かっている。
だがウクライナ軍は、レオパルト2、チャレンジャー2、M1エイブラムスとは全く対照的に最小限の装甲のみ施されているレオパルト1A5も、少なくとも165両手に入れる。レオパルト1がレオパルド2のように敵軍の攻撃を強行突破することは期待できない。
(forbes.com 原文)