ファストファッション人気が続く中で、世界中で大量生産・大量消費が問題視されるなか、筆者の住むフランスも例外ではない。昨年度フランスの市場で販売された衣類、靴、家庭用リネンは33億点にのぼり、2021年よりも50万点多かったという(※1)。
そんな中フランスは、2023年10月から、服や靴の修理・お直しをする人を対象に「ボーナス」を支給するという新たな取り組みを発表した。
具体的には、10月から消費者はヒールの修理や衣類の裏地の張り替えなどのお直しに対して、6ユーロから25ユーロ(約930円〜3900円)の補助金を受け取ることができる。フランスでファッション分野のサーキュラーエコノミーを推進する「Refashion」が運営を行う。
制度には、テーラーや衣料品ブランド、修理店などが無料で参加できる。参画団体に消費者が修理を依頼すると、補助金の分だけ請求額から割引され、その後Refashionが、適用した分の金額を参画企業・団体に返金するという流れだ。
エコロジー担当国務長官ベランジェール・クイヤール氏は、修理に関わるすべての団体にこの制度に参加するよう呼びかけている。
パリ18区環境配慮型複合施設「La Recyclerie」にある修理コーナー。修理道具の無料貸し出しなどもしている。 | Photo by Masato Sezawa
この補助金の目的は、「製品寿命の延長」だ。アイテムが使えなくなってしまったとき、すぐに新しく購入するのではなく、お直しして使い続けられる状態を奨励しているのだ。また、修理業界を支援することで、同時に新たな雇用創出を目指す。
この計画は、2020年2月施行のフランス政府の廃棄物政策「循環経済法」に基づいたものであり、こうした修理を奨励する動きは、衣類だけにはとどまらない。
フランスでは、2022年から冷蔵庫や洗濯機などの家庭用電化製品の修理に関しても、補助金制度が適応されるようになっており、10ユーロから45ユーロ(約1500円〜7000円)の割引がある。