長年にわたり、テーラーはファストファッションブランドに対して厳しい戦いを強いられてきたのだ。同氏はTelegraphに対して、以下のように語っている。
「消費者が新しいシャツを4.99ユーロ(約780円)で買うことができるとしたら、裂けたシャツを修理するために10ユーロ(約1560円)を支払う可能性は低いのではないでしょうか。
私たちは本当に衣類産業全体を再考する必要があります。現在の産業は自由市場資本主義に基づいており、世界で100万点もの衣類が出回っています……。私はこの政府の発表で、こうした問題が解決されるとは思っていません」
また、現地メディアの記事に対してFacebookやLinkedInのコメントでも、さまざまな意見が飛び交っていた。
“それは間違ったアプローチです。ファッション業界にはすでに低品質の製品が出回ってしまっており、品質の悪いものを何度も修理することが、根本的解決につながるようには思いません。”
“いいアイデアですが、プロセスは簡単なのでしょうか?高齢化が進んでいる修理業界では、インターネットを使った登録ですら難しい場合もあります。”
“「価格の安さ」は大事なので、良い流れに向かうのではないでしょうか。”
もともとフランスには、「日曜大工」や「物を自分で修繕すること」を意味する「Bricolage(ブリコラージュ)」という言葉が存在し、街中にはブリコラージュのための専門道具を売るお店も多い。筆者のフランス人の友人の中にも、「コーヒーマシーンが壊れたから部品を買って自分で直した」という人もいた。
一方で、「こうした修理ボーナスがあることについては知らなかった」と話しており、フランスの厳しい環境政策に対して市民の認知度は実際にはまだあまり高くないように感じる。
フランス文化にもともと根付く「物を長く使う習慣」に加え、今後こうした政策が市民の中にきちんと広がることで、市民の行動は少しずつ変わっていくのではないだろうか。
※ Refashion
【参照サイト】
・Bonus réparation : une aide pour réparer textile et vêtement
・France to pay bonus for shoes and clothing repairs to cut waste
・France pays people to repair clothes instead of throwing them away
※この記事は、2021年9月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。
(上記の記事はハーチの「IDEAS FOR GOOD」に掲載された記事を転載したものです)