教育

2023.09.08 10:00

百聞は一見にしかず 「ニュージーランド留学」という選択

鈴木 奈央

公立校という選択

家族で移住ができる、あるいは寮がない学校でも自分でホームステイをアレンジできる、という方にとっては学費の心配が少ないState Schoolも有力な選択肢となりうるだろう(とはいえ公立でも多くの学校で若干のinternational student feeを負担する必要がある)。

オークランドでは、公立学校でも国際バカロレアカリキュラムを導入している学校が複数あり、年齢が上になればGrammer Schoolという学力的に高い生徒だけを集める名門校も数多く、なかには私立学校にもひけを取らない広大な敷地と立派な施設を誇る学校もある。

家探しの際には、ほとんどの場合、不動産仲介サイトにどの学校の学区かが明記されており、decile ratingと呼ばれる1〜10の数字も併記されている。Decileが10であれば「比較的治安や環境が良く教育の質が高い学校」とされており、公立学校を選ぶ場合に一つの指標とする家族が多いようだ。ただし、ニュージーランド政府はdecileが低い学区に精力的に資本を投下して地域間の経済格差が教育格差に連鎖しないような政策を打ち出しており、今後はこの限りではなくなるかもしれない。

百聞は一見にしかず

今回、もともとはオークランドの学校ランキング上位に常に名前を連ねるもう1校の女子校に強い関心を抱いていた。しかし、レセプションからアドミッションズまで、接する人々がどことなく冷たい雰囲気で、キャンパスツアーでも大人と生徒に距離感があることがひしひしと伝わってきた。「百聞は一見に如かず」というが、教育現場ほどこの言葉がピッタリくる場所はないかも知れない。
Diocesan School for Girlsウェブサイトより

Diocesan School for Girlsウェブサイトより


本コラムではあくまでも私のレンズを通して興味深いと感じた学校を紹介しているが、ぜひ読者の皆さんにも旅行や出張の際に少し足を伸ばして、実際にさまざまな学校を見てただけたらと思う。学校選びに唯一絶対の解は存在せず、個性豊かな学校群の中からお互いの相性を見極めることが重要である。日本にも特徴的な学校や多様な選択肢が、今後増えてくれることを祈りつつ。

文=小林りん

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