普段の職場とは異なる場所で仕事をしながら、余暇も楽しむ働き方で、民間だけでなく地方自治体でも誘致の取り組みが活発化している。2023年度の国内のワーケーション市場は1000億円を超える規模になるとの予測もある。
全国に根差すスモール・ジャイアンツ イノベーター(略称・SGイノベーター)が提案する先端的なワーケーションを紹介しよう。
給電車が叶える「エレワーク」
SGイノベーターとして活動する、定額制の多拠点生活サービスを展開するADDressの代表取締役社長 佐別当隆志。「多拠点居住」を通じて、全国各地での関係人口づくりに貢献している。そんなADDressはトヨタ自動車と手を組み、「エレワーク」という新しいワーケーションを提案している。
「エレワーク」とは、電気(electricity)とテレワークを掛け合わせた造語だ。ADDressが提供する全国の生活拠点に滞在しつつ、クルマから電気を取り出せる給電車を活用することで、場所を選ばず自由に働くことができるワーケーションの形だ。トヨタの給電車によって暮らしの可能性を広げるプロジェクト「#電気が動くとできること」の一環だ。
屋内でテレワークに取り組むのではなく、キャンプ場や海辺などを気分に合わせて移動し、広い空の下でリフレッシュしながら働く。節電が求められる昨今に注目したい、ワーケーションのあり方だ。
農山漁村と人々を「つなぐ」ワーケーション
続いて、島田由香が提案するのは、地域の農山や漁村との関係人口創出を目指す人材育成プログラム「TUNAGUプロジェクト」だ。彼女が代表を務める一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会が、和歌山県みなべ町・すさみ町、石川県能登町、福井県高浜町で展開しているワーケーション事業だ。2023年に始動した「TUNAGUプロジェクト」では、農山漁村で全15日間の実地研修のプログラムを提供する。地域の広大な自然やそこに暮らす人々とのつながり、一次産業に関わる体験を通じて、自分らしい生き方や働き方の選択肢を増やし、都会で働く人々と地域のウェルビーイング向上を目指す。