Xboxがゲーム開発者に強いる困難、話題作『Baldur’s Gate 3』で露呈

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マイクロソフトは、自社製ゲーム機「Xbox」のエコシステムで徐々に膨れ上がる1つの問題を抱えており、その解決のために少々柔軟な対応を強いられるかもしれない。その問題とは「Xbox Series S」をめぐるものだ。

Series Sは上位機種の「Xbox Series X」から性能を落とした廉価版で、手ごろな価格で次世代ゲームを遊べる製品として位置付けられている。これは、理論上は優れた戦略だ。実際、新世代Xboxの販売台数の多くはSeries Sだと思われる。

しかし、発売から時間が経ち、ゲーム開発各社がPlayStation 5やSeries Xの性能を最大限に生かしたゲームを開発し始めるにつれて問題となってきているのが、マイクロソフトがSeries S版ソフトに求めている「機能の同等性」だ。

これは、Larian Studios(ラリアン・スタジオ)の新作RPG『Baldur’s Gate 3(バルダーズ・ゲート3)』で厄介な状況を生んだ。Series S版ソフトでも他機種と同じ機能を実装する必要があったため、Xboxはこの話題作の発売をPCやPlayStationに先行されてしまったのだ。ラリアンによれば、原因は画面分割によるオフラインでの2人プレイ機能のSeries S向け実装が困難を極めたことにあった。

しかし、マイクロソフトとラリアンは最終的に、Series S版では例外としてこの機能を省くことで合意。『Baldur’s Gate 3』は、Xbox向け発売のめどがたった。また、XboxとPCやPS間のクロスセーブなども可能になる。

この問題は一件落着となったが、これを機に、ゲーム開発各社はマイクロソフトに対し、Series Sで動作させるのが面倒な機能の例外扱いを次々と要求するかもしれない。Xboxではビジュアルやパフォーマンス面での同等性は要求されていないが、機能についてはどうか?

この問題は、今後も続くだろう。マイクロソフトの立場で考えると、Xboxプレイヤーが保有する機種がXかSによってゲームの主要機能が変わることは避けたい。個別のゲームについて、Series X版との機能の差をその都度プレイヤーに伝えなければならないとなると、Series Sのブランドは傷つく。

しかし、そのコストは価値のあるものだろう。そうすれば、このルールを守るためにXboxが「ゲーム・オブ・ザ・イヤー(GOTY)」有力候補のサードバーティ製タイトルに乗り遅れてしまうという、今回の恥ずべき事態の再発を避けられるのだから。この妥協により、Xboxでも年内に『Baldur’s Gate 3』が発売されることになった。その時期は、9月6日のPS版発売から数カ月遅れとなるだろう。ベストなかたちではないが、もしラリアンへの要求を突き通そうとしていたら、事態はさらに悪化していたかもしれない。

この問題がまた起きるのがいつになるかはわからないが、そうなることは確実だ。マイクロソフトは、今回のような例外を作り続けなければならないことに気づくかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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