アマゾン、大作ドラマ宣伝にAI画像使い物議 ゲーム原作の『Fallout』

安井克至
再現画像は、画像生成AIのMidjourney(ミッドジャーニー)へのプロンプト入力を4通り行うだけで作成できた。最終的に使用したプロンプトは「1950s los angeles street, 1950s cartoon, postcard, advertisement, washed out, faded color, idyllic, —ar 16:9」だ。アマゾンのAI担当者がどんなプロンプトを使ったのかはわからないが、これにかなり近いものだったはずだ。私はこれに、フォトショップで「grime」フィルターをかけて、風雨にさらされたような見た目にした。

これがなぜ問題かは、みなさんにもわかるだろう。アマゾンのような巨大な製作会社がこれを行ったという事実、そして誰でも10分程度で同じことができるというのが問題なのだ。私はアーティストでもグラフィックデザイナーでもないが、Midjourneyを一通りかじった程度の知識でこれを再現できた。

脚本家と俳優がストで反対しているもののなかに、こうしたAIの用途が含まれるかどうかはわからないが、ここでの教訓はより広い範囲に当てはまる。AIの利点は、手間を省いて人件費を削減できることにある。製作会社にとっては、時間とコストを節約できるのだから、これをやらない理由はない。契約にAI使用に関する条件を明記する必要があるのは、そのためだ。

製作会社が気にしているのはAIアート使用による著作権侵害の可能性のみだが、これについては今のところ、決定的な判決が出ていない。ただ、AI生成物については著作権を主張できないという逆方向の判断が出る可能性もあり、これは製作会社にとって問題となるかもしれない。

これらはすべて悪い方向へと向かっており、早期に歯止めをかけなければ、業界全体を好ましくない方向に変えていくだろう。筆者はアマゾンに、問題の画像についてコメントを求めたが、まだ返答はない。

(forbes.com 原文 1 2

翻訳・編集=遠藤宗生

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