東京に本社を置き、世界各国に約1900店舗を展開するトリドールの株価は、新型コロナウイルス流行の影響で外食を制限された人々が再び外食を再開したことを受け、ここ1年で30%以上上昇。粟田はトリドールの株式の48%を保有しており、その価値は25日の終値3930円に基づくと1600億円(約11億ドル)を超えている。
1990年に粟田が設立したトリドールは、丸亀製麺などのチェーン店を持つ日本有数の外食企業に成長した。トリドールはまた、中国の米粉麺「米線」のヌードルチェーンや、パンケーキが売りの「コナズ珈琲」、ラーメン店、天ぷら定食専門店も運営している。粟田は2010年以来、同社のレストランを世界中に広げることに注力しており、米国や英国、カンボジア、香港、インドネシア、フィリピン、台湾、ベトナムにも進出している。
トリドールの事業拡大の一部は、買収によって達成された。2015年に粟田はアジア系ファストフードチェーンのWok to Walkを買収し、欧州での存在感を高めた。2018年には、香港の人気米粉麺チェーン「譚仔三哥」と「譚仔雲南」を運営する譚仔国際(Tam Jai International)を2億4200万ドルで買収し、3年後に香港市場に上場させた。また、今年6月には、英国でピザとギリシャ料理のレストランを運営するFulham Shore(フラムショア)を約1億1800万ドルで買収した。
その後も事業拡大への意欲は衰えていない。トリドールは現在、欧米、東南アジア、中華圏でのM&Aに1000億円の予算枠を設定しており、今後5年間で店舗数を3倍の5500店以上に増やし、売上高を2倍の3000億円にすることを目指している。
2023年4〜6月の連結決算では、売上高が前年同期比20%増の526億6400万円を記録。レストランへの集客を増やした他に、持ち帰りコーナーを増設し、これが増収に貢献した。しかし、インフレによる食材費の高騰で、純利益は前年同期比27%減の26億4700万円に縮小した。
フォーブスは、粟田にコメントを求めたが、期限までに回答は得られなかった。
現在61歳の粟田は、1981年に神戸市外国語大学に入学するが翌年中退し、運送会社のドライバーなどを経て、85年に焼鳥居酒屋「トリドール三番館」を開業した。しかし、事業拡大には苦戦した。