ボルトの調査に回答した企業の51%は、2023年ホリデーショッピングシーズンに向けての最大の課題として、収集した顧客データに基づいてパーソナライゼーションを実施することを挙げた。こうしたパーソナライゼーションの取り組みは、ターゲティング広告、パーソナライズされたウェブサイト、eメールでの商品のおすすめといったさまざまな形をとり得る。
ボルトのマーケティングおよびコミュニケーション担当シニアバイスプレジデント、ヒラリー・ニーヴは「小売企業にとっては、商品販売を取り巻く環境が厳しさを増しているという現実がある」と述べる。「顧客獲得コストの上昇と、恒常的なインフレ圧力に対応するため、先駆的な小売企業は、顧客データ収集に着手したり、その手法を改善したりして、顧客のパーソナライゼーションを進め、シンプルな決済手段を提供することで、コンバージョンを促進しなければならない」
小売企業にとって、こうした動きがとれるかは死活問題だ。
Adobe Analyticsによれば、2022年のホリデーショッピングシーズン(11月1日から12月31日)の消費者オンライン支出額は2117億ドル(約30兆9800億円)であり、前年比3.5%増を記録した。
eMarketer(eマーケター)は、2023年のホリデーショッピングシーズンの成長率を、昨年と同等のプラス4.5%と予測している。
小売業者が抱える課題はパーソナライゼーションだけではない。年末の消費支出の一部を獲得しようとしてオンライン販売を行うブランドにとって、待ち受ける課題や障壁には次のようなものがある。
顧客獲得コストの上昇
オンライン広告はますます高価になりつつあり、小売企業は戦略的な予算配分を迫られている。
FirstPageSage(ファーストページセージ)が2023年5月に発表した、さまざまな業界を比較したデータによれば、eコマース企業の顧客獲得単価は約86ドル(約1万2500円)だ。さらに
別のデータによれば、顧客獲得単価は2022年に222%も増加した。
インフレとマーケティング予算の削減
インフレの進行により、予算の問題はさらに深刻化しており、マーケティング部門では、投資利益率(ROI)の最も高いマーケティング投資を優先することが至上命題となっている。
Gartner(ガートナー)の調査によると、最高マーケティング責任者の71%が、2023年に戦略を十分に展開するための予算が不足していると考えている。