ことあるごとに発信し、お願いし、情報共有し、思いを伝え、ワークショップを開き、気がつけばカルチャーができていた。もちろんその先に結果もついてきたが、大事なのはカルチャーができるまでだった。結果は自然についてくる。
もう一つ例を紹介しよう。とあるチームのメンバーは、いつも上司からの指示の実行に長けていた。常にトップダウンの意思決定で、実行部隊のように育ったからだ。そこへ新しいリーダーがやってきて、何か新しいアイデアはないかと尋ねたが、誰からもアイデアは出てこなかった。それからそのリーダーは、常に「何かよいアイデアはないかな?」と問い続けた。
半年後、一人のメンバーが奇抜なアイデアを発表した。整理もされておらず、ぐちゃぐちゃなプレゼンだったが、自ら考えたものだった。リーダーはそのアイデアを歓迎し(正確にはアイデアを出した勇気を歓迎し)、整理を手伝い形になるまで手伝った。今ではみんなからアイデアが出るチームになった。
もう気が付いたかもしれない。カルチャーというのは、言語化が難しく、得体が知れない。何か変化が起きた時に「これだったのか」と気が付くことができるものを追いかけるのは、勇気もいるし、パワーもいる。何よりも時間がかかる。ゴールは不明確だし、投資対効果がわかりやすいわけでもない。カルチャーの礎になるのは、リーダーの信念だけなのではないかと思う。
リーダーは強い信念を持てた時、カルチャーと言う強力な武器を手に入れる旅をはじめることができる。そしてその先に強いカルチャーのある理想の組織を作っていくことができるのである。