映画「バービー」のSNS炎上 ブランド毀損に
映画『バービー』といえば、「原爆の父」とされるロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた映画『オッペンハイマー』に関するSNS上でのやり取りで炎上したことが記憶に新しい。ともに7月21日に全米公開であったことから、「バーベンハイマー」なるネットミームが登場した。ここまでは特に問題視されることはなかったが、爆発の様子を背景に、バービーとボーイフレンドのケンが笑顔で並ぶコラージュ画像や、バービー役の主演マーゴット・ロビーの髪型がキノコ雲になったコラージュ画像がSNSに投稿されたあたりから、雲行きが怪しくなっていく。
これらの投稿に米映画『バービー』公式X(旧ツイッター)アカウントが好意的な反応を連発。原爆を「ネタ」にしたことに対し、日本を中心に大きな批判を集めたのだ。最終的に、米ワーナー・ブラザーズが公式に謝罪する事態となった。
公式アカウントの返信は、明らかに配慮を欠いたものであった。SNSマーケティングに力を入れようという方針だったのはよくわかるが、ブランド価値を著しく毀損したと言わざるを得ない。
筆者は映画館で『バービー』を鑑賞したが、「You Can Be Anything(何にだってなれる)」とのバービーのブランドメッセージが伝わってくる、素晴らしい内容だった。自虐的な「内輪ネタ」も多数盛り込まれており、客席からは何度も笑い声が上がっていた。
少しでもバービーに触れたことのある人なら確実に、そうでない人も大いに楽しめる作りといえる。それだけに、炎上によって日本でネガティブなイメージが先行したことが、残念でならない。
一方で、ハインツのSNSマーケティングは、綿密に設計された美しい戦略であった。