アート

2023.08.31

僕はアーティストです。布施琳太郎がその肩書きにこだわる理由

布施琳太郎 写真=帆足宗洋(AVGVST)

「アーティスト」としてのこだわりと覚悟

ある時友人が、布施の活動の幅広さやスピード感を評して、「漫画の『ワンピース』を読んでいるみたいだ」と言ったという。

「高速であらゆる話題が供給され続け、いつ終わるのかも分からないから、読み続けていないと気づいた時には何を言っているのかが分からなくなるって。すごく嬉しかったですね」

今や副業や兼業も広がり、“肩書きにとらわれない活躍”などが注目される時代だが、布施は一貫してアーティストと名乗ることにこだわっている。仕事のメールの文頭に毎回、「アーティストの布施琳太郎です」という一文を入れるのも、そこに覚悟があるからだ。

「肩書きって、何の歴史に責任を負っているかの表現だと思うんです。僕にとってそれはアートだった。何かをきっかけに、アーティストの布施琳太郎に興味を持ってくれたとしても、最終的にはアートそのものを好きになって欲しい。色々な人が残してきた世界の美しさや感動を知ってもらいたい。だから絵画や彫刻だけでなく、想像しうるあらゆる方法を使って、世界を制作するのがアーティストの役目だと思っています」
「隔離式濃厚接触室」(2020、ウェブページ、撮影=竹久直樹)

「隔離式濃厚接触室」(2020、ウェブページ、撮影=竹久直樹)


その“あらゆる方法”のひとつとして、「最近は、テレビに出たいなってすごく思うんです」と、少し照れながら、しかし真面目に語る。

「テレビに出ているアーティストが全然いない。今は落合陽一さんがひとりで、アートのすべてを代弁しているように感じます。他の人がいないのは良くないと思うから、恥を被りながらでも、人前で発言をする人になりたい」

その背景には、小学校の卒業式で宣言していたという「未来の子供たちが暗記しなければならない歴史的な偉人になりたい」という野心もあるのだろう。声を大にしては言わないものの、それを隠さないところも潔い。

年内には自ら提案した書籍の出版が2件控え、来年には美術館での展覧会への参加も予定されている。アートという歴史を背負いながら、飽くなき探究心と表現への情熱を燃料に、「読み続けていないと追いきれなくなる物語」は、これからも紡がれていくのだろう。


布施琳太郎◎1994年生まれ。iPhoneの発売以降の都市で可能な「新しい孤独」を、絵画や映像作品、ウェブサイトの制作、批評や詩などの執筆、展覧会企画などを通じて表現。アーティストや詩人、デザイナー、研究者、 音楽家、批評家、匿名の人々などと共に実践している。*着用衣装:シャツ 4950円(キャスパージョン/シアン PR 03-6662-5525)、トップス 22000円(ジュンハシモト/COMITAS 03-6277-5550)

文=菊地七海 編集=鈴木奈央 スタイリング=千葉 良(AVGVST) ヘアメイク=KUNIO Kataoka(AVGVST)

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