日本の知事も、ハワイ側の知事や市長も、周囲の出方をうかがっている状態が長く続きました。開催の半年くらい前からようやく日本側の知事の出席が決まり、それを受けてハワイ側の知事や市長の全日の参加を調整できたのは、開催の数カ月前というバタバタの状態でした」
さらに、元々は春に開催する予定が、今年は5月に日本で統一地方選挙があり、そんな時期に渡米は無理という自治体が続出。主催側はそれは焦ったそうだ。ようやく調整できたスケジュールが今年の7月だったというわけだ。
リアルにこだわった開催
それでも、これもコロナ禍の後遺症だろうか、「ZOOMで開催できないか」という意見も根強かったという。三輪氏が言う。「イベント開催の直前まで、オンラインでいいんじゃないかという声がありました。オンライン併用にしようという意見もありましたが、今回はあえて対面にこだわりました。ビジネスでも、人と人がリアルに会うことで偶発的に生まれる事案がけっこうありますよね。今回も自治体同士が実際に会うことで触発されることが多くありましたし、新たな交流も生まれました。オンラインにしなかったことが、今回の最大の成果だったと思います」
開催時期はようやく決まったものの、自治体と連絡をとる段階でも苦労したそうだ。
「今回のサミットは本当に手づくり。私も共同代表とは言っていますが、各自治体とのメールのやり取りなどほとんど自分1人でやりました。ところが窓口となる現場担当者と話していたら、首長レベルの上層部に全く話が伝わっていなかったというケースも多々あり......。しかも、窓口となる担当者は上層部に説明しないといけないから書面や資料ばかりを求めてくる。すべてを日本語で欲しいという。日本の役所の実態を、身をもって体験する機会となりました」
最近の日本の自治体は英語ができる職員もいると思いますがと、三輪氏に話を向けると、次のような答えが返ってきた。
「英語が母国語でない人と英語でやり取りすると、必ずミスコミュニケーションが生まれる。それで今回は日本語でのコミュニケーションを最優先しましたけど、ハワイ側でも日本語ができる人材が不足していますからね。迷惑メールにならないよう一斉メールを避けて自治体1つずつに個別でメール連絡しましたからかなり時間がかかりました。いつも朝起きると日本からのメールが大量に溜まっていましたよ(苦笑)」
予算の関係もあり会場で配るパンフレットなどは英語版で押し切ったそうだが、すべてのプログラムに同時通訳を手配しレシーバーを無料で貸し出した。こうした細々したものにも予算がかかっているわけで、今回はスポンサー集めにも苦労したそうだ。