ビジネス

2023.08.30 18:00

上場企業社長やハリウッドセレブが参加する「インド山奥の修行」とは

ラーニングエッジ代表取締役 清水康一朗

鳥の声を聞いたり、風を感じたりといったプログラムもありました。参加者と先生は話していいのですが、参加者同士の私語は禁止。内面と向き合って、人とおしゃべりできない時間がずっと続く毎日は、特に情報発信能力の高い経営者やリーダーだったら苦行に感じるのではないでしょうか。その時、呼吸によって脳にどんな変化を与えるかも学びました。
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初日に「悟りとは何か?」が語られます。参考までに、仏教の創始者であるゴータマ・シッダールタは、「ブッダ」と呼ばれますが、ブッダとは「悟った人」を意味します。ブッダは、「人生とは苦である」と言ったわけですが、この「苦しみ」から抜け出すことを、このアカデミーでは「悟りの状態」と定義しているのです。

つまり、悟りとは、苦しみからの脱却。ビジネスをしていると、様々な「苦しみ」があります。が、経営者やビジネスパーソンは、あたかも「自分には苦しみがない」と思い込んで、より一層苦しい状況に入っていきます。その原因は、家族や部下との分断、お金の問題、「エゴ」や「渇望」などといった要因があるのですが、「それがない」、「問題はない」と自分をごまかすことで、苦しみが続く、というのです。

では、どうすればよいのか?「いま」に集中し、呼吸を整えて、それを静かな心で観察し、意識するだけで、「苦しみの状態」から、「ビューティフルステート(美しい状態)」なれる、というのです。私は、明確にそのプロセスを体験することができました。

ベンツに乗ったブッダになりなさい

今回学んだことをビジネスに当てはめると、いまのビジネスは、20世紀の間で染みついた「達成しないといけない」という「エゴ」や「渇望」にとらわれ過ぎています。お金がないと負け組。聖人君子ではビジネスが上手くいかない、と。
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しかし、インドのビジネス哲学は、違います。「ベンツに乗ったブッダになりなさい」と教えてくれます。つまり、ブッダ= 悟った人=苦しみのない人となること。そして、経営者がそうあることで、周りを豊かで苦しみのない悟りの世界にしていくことこそが、目指すべきゴールであると。

この考え方は、持続化可能な経営や、SDGsの取り組みのヒントになりませんか?これこそ、私が著書「絆徳経営のすゝめ」」で紐解いてきた、理念と利益の一致という経営哲学に通じる考え方なのです。

帰国後すぐ、記憶が鮮明なうちにと、このインドでの体験談をベストセラー作家、山崎拓巳氏との対談形式でライブ配信しました。そうしたら、なんと一般的には拡散しづらいと言われるFaceboookライブであるにも関わらず、実に8000回以上も再生されました。このことからも、いかに世の中の方々が、いまインド的な哲学に興味を持っているかが分かりました。

このアカデミーには、日本の上場企業の社長からハリウッドセレブまでが、お忍びで参加しているそうです。私が参加した7月の回には、世界中から800人、日本人は20~30人が参加されており、参加フィーは、もろもろ含めて200万円くらいだったことを最後にお伝えしておきます。

余談ですが、インド帰国後、お会いする方々から「清水社長、何かすっきりされたましたね」と、ご指摘を受けます。規則正しい生活リズムに加えて、野菜中心の食生活で5kg痩せたことは事実ですが、体調だけでなくメンタルが整ったことで、顔つきにも変化が起こったのかもしれません。さらに、ヨガのエクササイズが毎朝の習慣になったことも書き加えておきます。

文=中村麻美

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