ビジネス

2023.08.30 18:00

上場企業社長やハリウッドセレブが参加する「インド山奥の修行」とは

ラーニングエッジ代表取締役 清水康一朗

ワンネスをロジカルに悟る、2週間のプログラム

いまから5年前の2018年、来日していたインドの聖人と私が呼んでいる哲学者プリタジ氏にお会いする機会がありました。もうひとりのインドの聖人、哲学者クリシュナジ氏と共に、意識の変容を起こすアカデミーを主宰しています。私は、彼らと出会ってから、彼らが開発した「ワンネスを学ぶ経営者プログラム」に何回か参加させて頂いていましたが、コロナでインドに行けなくなっていました。
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ところで、「ワンネス」とは、簡単に言えば「一体感(ひとつであること)」。自分も他人もひとつであり、世界と自分を分断しないようにしようよ、という話です。

これは、一見すると宗教っぽく聞こえるかもしれませんが、宗教ではありません。プログラムで説明される内容自体は、極めてロジカルでビジネスにも活用できる内容でした。今年からコロナも落ち着き、インドに行きやすくなり、彼らからまたお誘いを受けました。ちなみに、今回のプログラムは、今までとは違う特別な内容であり、その間、携帯禁止、外部とやり取りできない、と聞かされて、最初は「えー、それは無理」と思いました。が、考えてみたら、2週間もスマホを触らない体験ができるのも貴重な機会だな、と感じたのです。

そんなわけで、2023年7月、本格的なインドでのプログラムの参加を決意したのです。決意と書くと大袈裟な、と思われるかもしれませんが、2週間もの間、仕事も家族への連絡もできないまま、プログラムに取り組む行為は、私にとってはハードルの高いものでした。
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結論から申し上げると、参加してよかったです。「悟る」とは何かが自分の中で明確になったから。悟りとは、ブッダが説く、苦しみから抜け出す教え。それが、自分なりに明確に紐解けたのです。苦しみの元凶を自分自身と向き合うことで認識できたら、ビジネスや人生に向かう次なる一手が見えてきました。

正直に言えば、実は、この2週間の初日に「このプログラムの目的は『悟る』ことです」と言われて、いやいや、それは無理だろう、と思っていました。少なからず仏道に学び、僧侶でもある私からしたら「悟りの境地は、そんなに簡単に手に入るものではない」という想いもあったことも、ここで告白します。でも、プログラム中に「意識の変容」が起こりました。この脳内の意識変容において、ビジネスリーダーなら、知っておいた方がいいと思えるヒントが、いくつもあったのです。

ビジネスにも使える「悟り」とは何か?

インドに到着し、チェンナイ空港から車で何時間もかけて到着した先は、山に囲まれたアカデミーのキャンパス。チェックインを済ませて、翌日からのプログラムに備えます。

1日のスケジュールは、こんな感じです。早朝4時半になるとジャーーラーーーーン!と、大きなドラの音で起床。身支度を整えて、再びドラの音で集合し、ヨガ、瞑想、坐禅、講習と続きます。携帯電話や腕時計は禁止なので、時間の感覚がなくなってきます。事前に着る服は、全身ホワイトという指定があったので、私はユニクロで購入した白の上下で臨みました、笑。

食事は全て野菜や豆が中心のビーガン。イメージは、お寺の宿坊での修行。これは、まさに苦行でした。ちなみに、会話も禁止なので、20~30人ほど参加していた他の日本人ともほとんどコミュニケーションはありません。そんな、外部との世界がシャットダウンされた時に感じたのは、いかに今まで外の世界にとらわれて生活していたかということ。だから、ひたすら自分自身と向き合えたのです。
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文=中村麻美

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