ドナルド・トランプ、ペンシルベニア大に140万ドル超の寄付?
愛校心の強い卒業生が母校に多額の寄付をしてくれるなら、大学側は諸手を挙げて子弟の入学を歓迎するだろう。たとえば第45代アメリカ大統領ドナルド・トランプは、ペンシルベニア大学の経営大学院であるウォートン・スクール出身であり、長男トランプ・ジュニアと長女イヴァンカを母校のウォートン・スクールに通わせた(イヴァンカの異母妹ティファニーもペンシルベニア大学を卒業したが、ウォートン・スクール出身ではない)。
その一方で、ペンシルベニア大学の学生新聞『デイリー・ペンシルベニアン』は、「当校がドナルド・トランプから140万ドル以上の寄付を受けた可能性があり」、「寄付を受けた時期はトランプ・ジュニアとイヴァンカが入学した頃と合致する」と明かしている。
『ワシントン・ポスト』が前掲記事で述べたように、レガシー・アドミッションは裕福な白人の入学志願者にとって有利に働く半面、有色人種やその他のマイノリティーの入学志願者の排除につながる向きがある。
レガシー・アドミッションによる新入生の1/3は「年収50万ドル世帯」
何しろハーバード大学の学生新聞『ハーバード・クリムゾン』は、次のように述べている。「レガシー・アドミッションで入学した新入生のおよそ1/3は、年収50万ドル世帯の生まれであり、SAT(大学進学適性試験)をはじめとする標準テストの成績は、入学志望者の世帯収入と強い相関があることが示されている(教育熱心な両親と高い家庭教師代のおかげもあり、学生が裕福な生まれであればあるほど、テストの成績が高くなるからだ)。それに、入学選考で重視されるボランティア活動に参加できるかどうかは、親の財布の厚さにかかっている」その一方で、AP通信は「アマースト大学、カーネギーメロン大学、ジョンズ・ホプキンス大学などがレガシー・アドミッションを近年廃止した」と伝えており、『ハーバード・クリムゾン』は前掲記事で「当校もこれらの大学と連帯する可能性がある」と示唆している。
奇しくも今年7月、ハーバード大学では史上初めて黒人女性のクローディン・ゲイが第30代学長に就任した。今後は彼女の舵取りに注目が注がれそうだ。
水科哲哉(みずしな・てつや)◎日・英・韓の3ヵ国語を解するライター/編集者。ビジネス書、自己啓発書から、政治や歴史関連本、科学書に至るまで、60点以上の多岐にわたる翻訳書の編集制作に従事。『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』『Forbes JAPAN』などの記事翻訳にも携わる。音楽ライターとしても活動中。アンフィニジャパン・プロジェクト代表社員。Twitter @Tmizushina