フランスのマルク・フェノー農業・食料大臣は8月25日、余剰在庫を廃棄するための費用は、価格の崩壊を防ぎ、ワイン生産者が「再び収入源を見つける」ことを目的としたものであり、国は今年、300万ヘクトリットル(ワインボトル約4億本)の余剰に備えていると記者に伝えたとFinancial Timesが報じている。
この支援金によってワイン生産者は、余剰ワイン(昨年の生産量の約7%と見られている)を蒸留して純粋なアルコールを抽出し、手指消毒剤、香水、その他の工業製品向けに赤字で販売することが可能になる。
過剰生産によって一部のワインは最大20%値下がりしているが、フランス政府がこのような買い戻しプログラムを実施するのはこれが初めてではない。業界専門家のエリザベス・カーターは、フランスは過去数年間、消費を上回るワイン生産に苦闘しており、生産量の制限によって価格を維持しようとしているとワシントン・ポスト紙に話している。
ボルドー地方はフルボディの赤ワインで、ラングドック地方はレッドブレンドでそれぞれ知られており、いずれも過去10年間、若者のロゼワイン、ビール、ノンールコール飲料などへの移行によって販売が32%下落した赤ワイン離れの打撃を受けてきた。
パンデミック下のレストラン閉鎖や市場取引の中止はワイン生産者に大きな打撃を与え、進行中の気候危機も業界を苦しめている。余剰ワイン廃棄のための補償金支払いのニュースは、1980年代以来、夏の気温上昇のために毎年徐々に早まっているフランスのぶどう収穫時期と重なった。
ロシアのウクライナ侵略に端を発する燃料と食糧の価格高騰によって、EU諸国の消費者は必須でない飲み物への出費を控えているとBarron'sは報じている。今年のワイン消費量はスペインで10%、ドイツでは22%、ポルトガルでは34%減少した。