「私たちは作りすぎています。販売価格が生産価格を下回っているので赤字です」とラングドック・ワイン生産者協会のジャン・フィリップ・グラニエがThe Guardian誌に話した。
フランスは世界有数のワイン生産国であり、ワイン産業は2000年以上にわたりこの国の文化の重要部分とされてきた。フランスワインの品質を管理するための法律が1930年代から制定されており、赤、白、ロゼ、スパークリング、シャンパンなどあらゆるタイプのワインが生産されている。同国にはシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンをはじめとする200以上の原産品種がある。調査会社のIBIS Worldによるとフランスワインの市場規模はおよそ156億ユーロ(約2兆3000億円)で、昨年のワインおよび蒸留酒の輸出額は172億ユーロ(約2兆7000億円) に達した。
「5.6」。これは2020年にフランスで1人当たりに販売されたアルコール飲料のリットル数であり、1961年の20リットルから大きく減少しているとロイターが報じている。
苦戦するワイン産業を抱えているのはフランスばかりではない。オーストラリアのワイン市場は2020年、中国が5年間の関税を課したために28億本の余剰が生じ、業界は深刻な打撃を受けた。関税が撤廃されるまで回復の見込みは立っていない。オーストラリアワインの輸出は、今年6月までの会計年度に金額で10分の1まで下落したとロイターは報じている。米国におけるワイン消費も減少しており、カリフォルニア州では気候変動によりぶどう収穫過去最少になったとSan Francisco Chronicleは報じた。しかしこれは、需要減少が続いたり不況が襲ったとしても、米国のワイン生産者は莫大な余剰在庫を抱えて値下げを余儀なくされることがないという意味でもある。
(forbes.com 原文)