北米

2023.08.28

シカゴ市、起亜自動車とヒョンデを訴える 盗難防止技術を未搭載で

BONDART PHOTOGRAPHY / Shutterstock.com

シカゴ市は、韓国の自動車メーカーであるヒョンデと起亜自動車を、複数の車種に盗難防止技術を搭載していなかったとして提訴した。市は、このことが車両の盗難と他の犯罪の急増と関連していると主張している。

訴訟では、車を始動させるためのチップを搭載したキーを必要とするセキュリティ技術のイモビライザーは、米国で販売されているほとんどの車に標準装備されているが、起亜自動車とヒョンデの多くには装備されていないと指摘した。

シカゴ市はこのことが「自動車盗難の危機を引き起こしている」と主張し、2022年にシカゴ市だけで起亜自動車とヒョンデが8800台以上盗難に遭っており、起亜自動車とヒョンデはシカゴ市の自動車の7%に過ぎないにもかかわらず、その年のシカゴ市の自動車盗難の41%に相当すると指摘した。

ブランドン・ジョンソン市長は、自動車メーカーがイモビライザーを搭載しなかったことを「まったくの過失」と呼び「シカゴの低所得者層に大きな影響を及ぼしている」と述べ「犯罪者は盗まれた起亜自動車とヒョンデを使って、無謀運転、武装強盗、殺人を含む他の犯罪を犯している」と指摘した。

イリノイ州裁判所に提起されたこの訴訟は、裁判所に2社に罰金を科すこと、市に対して損害賠償金を支払わせること、最高レベルの安全機能を備えた車であると宣伝することを禁じる差し止め命令を出すことを求めており、市は陪審裁判を要求している。

2021年初頭、TikTokを中心にUSBケーブルとドライバーを使って起亜自動車とヒョンデの特定のモデルを「ホットワイヤー」する方法の動画がネット上に出回り始めた。AP通信によると、この手口はイモビライザーがない車種だからこそ可能なのだという。このため、全米で盗難が多発。各社は2月「ホットワイヤー」を可能にする不具合を修正することを目的としたソフトウェア・アップデートをリリースしたが、AP通信が分析したデータによると、アップデート後も車両の盗難は増加していた。
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翻訳=上西雄太

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