朴:「『OnSay.ai』はブラウザで誰もが簡単にアクセスできる生成AIサービスです。バスキュールは7年前から音声ARサービスを提供しており、ユーザーの位置情報に基づいて、用意された音声のなかから最適な音をリアルタイムで再生するというサービスを提供しています。
しかし、ChatGPTが、ユーザーの入力に応じて、リアルタイムに自在にテキストを生成してくれるように、用意された音声だけでなく、ユーザーの状況に応じた、その場でのリアルタイム音声生成も可能になるんじゃないか、と考えています。つまり、今のテキストベースのインターフェースが音声ベースに置き換わる時代がくるんじゃないか、と。音声体験はより大きく進化していくと考え、OnSay.aiというサービスをつくりました。
OnSay.aiではブラウザだけで、自分のAI音声モデルを作成でき、オペラやボイパなどを歌いこなす自分の音声を誰でも簡単に生成することができます。私自身、ここ数年で親を亡くしましたが、もし親の声が残っていたらという思いから、このサービスを作り人々に新たな音声と体験の可能性を身近に感じてもらいたいと思っています。」
朴氏の話を聞き、次回実家に戻る際には母の声を入力させてもらおうと思った。今までのAIサービスはなかなか母親に勧められるものがなかったが、このOnSay.aiは親子の絆を新しい形で可視化できる素敵なサービスだ。もちろん他の活用方法も無限大にある。OnSay.aiを活用したアイディアソンなども多くの可能性を発見できそうである。テキストの生成AIの先の、音声の生成AIはApple Vision Proが登場する近未来には多くの利用用途が考えられそうである。
「SaySay」AIデザインラボでは、若手の支援も大切にしている。ウェブサイトでも業務内容として「AIスタートアップのインキュベーション」と書かれているが、両氏はスタートアップのインキュベーター、アクセラレーターとしての経験も豊富であり、また、大手企業経営者や投資家との繋がりもある。スタートアップや若手クリエイターがこのラボに集うことにより、自社サービスなどを大手企業で活用してもらえる可能性が大きいのは魅力的なポイントだろう。
また、生成AIの表面的な部分だけでなく、データのインプットからアウトプットまでの全体をインテグレーションできるので、カバー範囲も幅広い。現在のAIブームでは、特化型のサービスが増加しているが、統合された体験を提供する者は少ない。この統合体験の提供は、深津氏や朴氏が長年得意としている領域なので多くのAI系スタートアップとの連携も強化しており、大きな挑戦を共に進める体制が整っていると言えるだろう。