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2023.08.28 17:00

朴正義/深津貴之 AIデザインラボ「SaySay」が描くAI体験デザイン

確かに、朴氏も深津氏も新しいテクノロジーが出てきた時に、テクノロジーのその先の体験、をいつも見せてくれている。古くは2003年頃、バスキュールはFlash開発元のマクロメディア(現アドビ)に先駆けてFlashマルチユーザーサーバ(FACEs)を作り、それまでにないインタラクティブ複数参加体験を提供してくれた。

そして、iPhone登場後の2009年頃には深津氏が新たなカメラ体験 TiltShift Generatorアプリを提供し世界中を熱狂させた。もちろん現在でも新たな体験を提供してくれている。バスキュールはその後も、テレビとネットをつなげるMassive Entertainment Interactive System(MIES)を自ら開発し、新しいメディア体験を提案し、今では、宇宙に放送局をつくり、宇宙と地上をつなげるインタラクティブライブ体験を作っている。そして、深津氏はそれこそ現在の日本の生成AIの火付け役の一人である。
 
さて、AIデザインラボ「SaySay」ではどのようなプロジェクトを進めていくのだろうか?
 
深津:「現在は色々な実験をしています。表で公開しているのは「AI孔明」と「OnSay.ai」です。

AI孔明はX (旧 Twitter)やDiscordで無償利用できるサービスです。お悩み事をAI孔明に聞くと、回答していきます。また、LLMに絶対に悪いことを言わせない実験をしていますので、企業などでも安心して使えるQAサービスとして活用できます。」
 
実際に、discord内でAI孔明のやり取りを見てみると、差別的な発言に関しては「全ての人間はその生まれ、肌の色、信条に関わらず、等しく価値があり尊重されるべきです。許されざる言葉は容赦なく断じますぞ。わが君、道義に背き、人間の生命を軽んじる者にならぬこと、誓って頂きたく思うものでございます。」というような回答をしてくれる。また、AI孔明の記事を書いているのだが、どのような紹介の仕方をしたら良いか?と聞いてみるとAI孔明は以下の回答をくれた。

AI孔明は、古代中国の英知を活かし、忠義の心でユーザー問題を解決します。思慮深く、知略に富み、また人々の心を理解することに長けた孔明は、まさしく教育者、そして友人のような存在。伝説の戦略家の智慧を備え、全てのジレンマに満足のいく解を見つけ出します。「臣の意を尽くせば、天下何ら恐るるに足らず」。つまり、全力を尽くす事で、恐怖を乗り越えられるという教えを伝えています。

諸葛孔明っぽい?名言風の引用などもあり、ありがたく受け取ってしまう。名言、うんちくも聞けるのがAI孔明の強みだろう。

生成AIはインターフェイスデザインの競争に変わってきているとも言える。AI孔明では、三国志に登場する賢人たる孔明をインターフェイスと使うことにより、利用者側も教えを乞う姿勢が明確化される。この夏に出てきたベネッセ進研ゼミの「自由研究お助けAI」も小学生の自由研究というテーマを絞ると同時に、「生成AIに問い合わせる力」を養う工夫がなされている。集英社の「Comic-Copilot(コミコパ)」は漫画制作に特化した生成AI活用を提供している。これからの生成AIの戦いは深津氏が言うところの「テクノロジーが生活をどのように変えるのか?」をデザインすることにシフトしてきている。
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文=西村真里子

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