彼らは次世代を担う「30才未満の30人」を選出する「30 UNDER 30 JAPAN 2023」のENTERTAINMENT & SPORTS部門の受賞者に選出された。
踊れる音楽を日本に持ち込み、「音楽シーンに革命をもたらす」という野望を掲げるKroiの信念とは。
「いなたい」にある美を照らす
Kroiの結成は2018年。中学からの同級生である内田怜央(ボーカル/ギター)、長谷部悠生(ギター)と、大学の同級生だった関将典(ベース)、益田英知(ドラム)がInstagramを通じて出会い、のちに千葉大樹(キーボード)が加入した。結成当初から掲げていた野望は「音楽シーンに革命をもたらす」。当時はストリーミングで音楽を聴く習慣が国内で定着しておらず(2018年の音楽ストリーミング配信年間売上は昨年の1/3程度)、シングルランキングには女性アイドルグループが目立ち、ロックフェスにおいても今ほど音楽性が多様化していない時代だった。
「『踊れる音楽』を日本でやることに意味があると思っていました。海外で生まれた音楽ジャンルの根底には『聴くことで身体が動き出してしまう』という要素があるけれど、当時日本でムーブメントになっていたのは『踊れる音楽』とは少し違うもので。自分たちのルーツにあるファンク、ヒップホップ、R&B、ソウルなどを日本人なりに昇華して表現することで、日本の音楽業界に新しい風を吹かせたらなというのが始まりです」(関)
「今はまったく注目されていないものや、いなたい、ダサいとされているものを、トップに持ち上げられたら革命だと思う。音楽的に『ダサい表現』って、俺はすごくかっこいいと思っていて。たとえばきれいなメロディの中にダサいフレーズを入れ込むことによって、今までにないかっこよさを築ける。そうやって生まれた新たな価値観を伝播できたときに革命を起こせるのだと思います」(内田)
汚れや失敗の排除、「タイパ」「コスパ」やデジタルを活用した効率化など、世の中に広がる価値観とは異なるものを大切にするのがKroiのスタンス。現代に失われつつあるものや、社会で正解とされているもの以外に光をあてるKroiは、音楽面に限らず生き方の本質についても人々に気づきを与えている。
「綺麗なものだけを追い求めず、汚いところにある美しさを好むのが僕たちだと思います」(内田)
「『綺麗なもの』と『汚いもの』があった時に、一般的には綺麗なものの方が選ばれると思うんですけど、僕らはあえてみんなが選ばない方を選ぶ。それがKroiの個性になっているのかなと思います」(千葉)