伝説のポップグループABBAのメンバーのビョルン・ウルヴァースも、このプロジェクトに賛同するアーティストの1人だ。
「YouTube AI Music Incubator」と名づけられたこの取り組みには、ブラジルのシンガーのAnittaや、シンガーのd4vd、作曲家のマックス・リヒターを含むユニバーサル・ミュージックのアーティストが参加する。また、フランク・シナトラの楽曲もリストに含まれている。
ABBAの活動のピークが1970年代だったことを考えると、ウルヴァースがこのプロジェクトに参加するのは奇異に思えるかもしれないが、昨年ロンドンで開催されたショーでは、バンドのホログラフィックアバターが作成され、ステージを盛り上げていた。
「私はテクノロジーを前向きに捉え、AIモデルがどのように機能し、創造的なプロセスにおいて何ができるのかという好奇心からこのプロジェクトに参加した」とウルヴァースは述べている。
この取り組みと並行して、YouTubeは「3つのAI原則」を発表した。第1の原則は「AIはここにあり、私たちは音楽パートナーとともに責任を持ってAIを受け入れる」というものだ。第2の原則は「AIはクリエイティブな表現の新時代の到来を告げているが、適切な保護を含み、参加を決定した音楽パートナーのために機会を解放しなければならない」と主張している。
さらに第3の原則として、YouTubeはすでに「業界をリードする信頼と安全性の組織とコンテンツポリシー」を構築しており「AIの課題に対応するためにそれらを拡張する」としている。
これらのやや守勢的な原則は、生成AIコンテンツの影響に対する音楽業界の懸念に、YouTubeが耳を傾けていることを示すためのものだ。今年初め、ユニバーサルのマイケル・ナッシュ副社長は、AIの普及がオリジナルの創作物の特定を困難にし、アーティストの法的権利を侵害する可能性があると警告した。
ユニバーサルはまた、4月に同社が権利を保有するドレイクとザ・ウィークエンドの楽曲をフィーチャーした、AIによる楽曲が、スポティファイなどのプラットフォームで一時的に入手可能になるなどの騒動にも巻き込まれた。
YouTubeは「生成AIシステムは、商標や著作権の乱用、誤った情報、スパムなどの課題を増幅させる可能性がある」と認める一方で、AIが権利者のために働く余地もあるとしている。
「AIは、この種の問題のあるコンテンツを特定するためにも使用可能だ。当社は、Content IDなどの、ユーザーやクリエイター、アーティストのコミュニティを保護するのに役立つテクノロジーへの投資を続けていく」と、同社はプレスリリースで述べている。
(forbes.com 原文)