ウクライナ空軍では現在、西部スタロコスティアンティニウ空軍基地を拠点に第7戦術航空旅団が運用するスホイ24Mとスホイ24MRの改造機による小部隊が、深部攻撃航空部隊の中核を担っている。この改造機は、英国から供与された巡航ミサイル「ストームシャドー」とフランスから供与された巡航ミサイル「スカルプ」を搭載でき、約250km先のロシア軍部隊や後方支援拠点を攻撃できる。
F16はストームシャドーとスカルプには未対応だが、JASSMには対応している。F16とJASSMをセットで運用することで、ウクライナ空軍は深部攻撃戦力を倍増できる。ウクライナの巡航ミサイル戦力が増強されれば、同国政府の主要目的の1つが達成されるかもしれない。すなわち、9年間にわたりロシアの占領下にあるクリミア半島の解放である。
ウクライナ陸軍が南部と東部で大規模な反転攻勢を開始してから10週間が経過した。南部戦線は現在、ロボティネからトクマクを経てメリトポリへと至るルートと、モクリヤリ川の渓谷に沿ったルートが焦点となっている。目標は、80km先の黒海まで前線を押し上げ、クリミアへのロシア軍の地上連絡線を断ち切ることだ。
F16がJASSMを発射できれば、ウクライナ兵の損耗をはるかに少なく抑えながら同じ目標を達成できる。「JASSMを搭載したF16は、ウクライナのオレクシー・レズニコウ国防相が表明した『戦わずして』クリミアを奪還するという長期計画に欠かせないだろう」とランド研究所のタネヒルは記している。
(forbes.com 原文)